アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

黒人音楽フェスの “奇跡” 『サマー・オブ・ソウル』

1960年代ブラックミュージックのすべて 50年間眠っていたライブ映像を神わざ的な編集作業で復活させた『サマー・オブ・ソウル』。 ついにこの8月27日(金)に日本公開が実現した。 この俺が、見ないわけにはいかないじゃないか! 1969年、夏。 あの有名なウ…

『エイリアン』という映画は「神」を描いた作品だ

8月の中旬ぐらいに、SF映画『エイリアン』(8月9日)と、『エイリアン2』(8月16日)を2週続けてBSプレミアムで観た。 両者とも、一度は公開されたとき封切館で観ている。 そのときは、SFホラー的な1作目に対し、それをアクション映画に作り替えた2作…

タリバンはなぜ民主主義的制度を否定するのか?

タリバンのアフガニスタン制圧で、また一つ「民主主義」思想を否定する国家が誕生しそうだ。 ネットニュースによると、新政権の誕生を告知したタリバン幹部の一人は、 「アフガニスタンは民主制とはなじまない。なぜなら、この国にはそういう土台がないから…

日本の政治家たちの「言葉」はどんどん貧しくなっていく

なぜか五輪関連の疑問や批判がつきない 東京オリンピック2020が閉会しても、ネットなどでは、いまだにこのイベントに対する話題が途切れることがない。 もちろん、この後にパラリンピックを控えているわけだから、人々の心にはずっと五輪の熱気が残っている…

菅首相と河村たかし市長の “社会とのズレ方”

毎年、8月も中旬になると、マスコミなどでは、「終戦の日」(8月15日)にまつわる報道特集が多くなる。 私が毎週見ている『関口宏のもう一度! 近現代史』(BS-TBS土曜日)においても、ちょうど日本が太平洋戦争に負けていく過程が克明にレポートされてい…

 コロナウイルスは恐竜を滅ぼした隕石に匹敵する

「コロナ禍が収束したら、ゆっくり旅行でも行こうね」 …… などと約束するような会話が、相変わらず人々の間に交わされている。 しかし、そんな日はこないかもしれない。 私たちが向かい合っているのは、SF小説かSF映画のような宇宙規模の “人類滅亡ストーリ…

オリンピックにおけるアメリカ勢敗退の理由

今回の東京オリンピックでは、アメリカ国歌(「星条旗よ永遠なれ」)をあまり聞かない。 それだけ、アメリカの金メダル獲得の頻度が減ってきているわけだ。 スポーツ界における “アメリカの凋落” 。 それまで、アメリカの絶対優位を伝えられてきたスポーツ種…

菅総理はとにかく陰気だ

コロナウイルスの感染拡大が止まらない。 7月31日の東京都の感染者数は4058人(これまでで最多)だという。 この数値を聞いたときは驚いたが、すぐに、感染者が “一万人” を超える日も近いだろうと思った。 こういう危機的な状況でありながら、人流は一向に…

「多様性と調和」とは何か

今回の五輪のコンセプトは、「多様性と調和」だという。 開会式などのセレモニーを演出する組織委員会が掲げた標語だ。 “流行り言葉” といえなくもない。 特に「多様性(ダイバーシティ)」という用語は、昨今のトレンドとなっており、それを口に出した人は…

大野将平、カッコいいぞ!

2020五輪の柔道をテレビで見ていて、73kg級で金メダルをとった大野将平という選手の存在に強く惹かれるものがあった。 ちょうどこの日、柔道の話題としては、阿部一二三&阿部詩兄妹の「同日金メダル獲得」という快挙が話題になったが、私自身は、その後に登…

広告代理店的な思想の終焉

あまり何度も同じテーマを繰り返したくはないのだが、昨日触れた「2020東京オリンピック」の開会式のことについて、あと一回だけ書く。 いろいろネット情報を見ると、7月23日夜に開かれた五輪開会式へは賛否両論があるという。 大方は、その内容の貧しさに…

東京五輪の開会式はさびしかった

7月23日。午後8時より、テレビで東京オリンピックの開幕式を4時間かかって見る。 正直な感想。 「冗長」の一言。 すべてが長すぎる。 だらだらと続く無意味なパフォーマンス。 橋本会長やバッハ会長の、美辞麗句だけ連ねた空疎な挨拶。 4時間もかける必…

薬漬けの日々

体調の思わしくない状態がずっと続いている。 この4月。 肺血栓症の症状がぶり返してきたと感じ、行きつけの病院の診察を受けたが、検査上はさほどの問題がないということが判明。 しかしながら、以前よりも疲労が蓄積している感覚をぬぐえない。 よくない…

現実を知るために不条理と向き合う

このGWに、コロナウイルスの蔓延を防止するための三度目の緊急事態宣言が出されたが、人の流れは一向に減らないという。 テレビニュースなどを見ていると、(東京を例にとれば)渋谷、新宿、銀座などの繁華街への人流は多少減ったらしい。 そのかわり、郊外…

10年前の「3・11」

東日本大震災が起きて、10年経った。 地震が始まったとき(3月11日の14時46分)、私は北関東のキャンピングカー販売店で、新型車の取材をしていた。 その場所が震源地に近かったせいもあり、10年経った今も、そのときの記憶は鮮明によみがえってくる。 野外…

ラー油の奇跡

人間の舌が感じる “味” というのは、なかなか微妙なものである。 うまいモノはうまい。 まずいモノはまずい。 … のだけれど、 「まずいもの」+「まずいもの」 = うまい! ということが起こりうるのだ。 実は、ある中華食堂の話。 学生の頃、夏休みの間だけ…

名曲ありて「名画」あり

ある日どこかで 「名画」とは何か? この言葉が意味するものには、絵画と映画の両方があるが、とりあえず映画における「名画」を考えてみる。 感動を得られたもの。 深い印象を与えてくれたもの。 無類に面白かったもの。 …… などなど、「名画」といわれる映…

この世の果てから届く音

処女航海/リターン・トゥ・フォーエバー この世には、物理的にも理念的にも、人間がたどり着くことのできない領域というものがある。そこから先は、人間が足を踏み入れてはならないと思わせるような “場所” がある。 そういう “場所” を、仮に「この世の果…

南にある大人の恋の国

鹿児島独り旅 前回「薩摩示現流」の記事を書いたが、そのときに体験した鹿児島旅行の思い出を、もう少し綴る。 そのときにも書いたが、この旅行は、CAR雑誌に掲載する “ドライブガイド” の取材が目的だった。 一応、記事にするべきものをあらかた取材して、…

必殺の剣法「薩摩示現流」

司馬遼太郎さんの幕末小説を読んでいると、「薩摩示現流(さつまじげんりゅう)」という言葉によく出くわす。 『新撰組血風録』 『燃えよ剣』 『竜馬がゆく』 『跳ぶが如く』 こういう作品群では、必ず「示現流」という剣術の話が紹介される。 NHKの大河ドラ…

司馬遼太郎 『坂の上の雲』を読む

バルチック艦隊の悲劇 司馬遼太郎の『坂の上の雲』は、日本近代史を深堀りする画期的な名著の一つに数えられるが、私が読んでいちばん記憶に残っているのは、意外にも、“敵国” として描かれたロシア軍の記録なのだ。 なかでも、バルチック艦隊の悲劇は、魂を…

司馬遼太郎に洗脳された日本人 … だってよ

近頃、いろいろな方のブログを拝読していると、広告の掲載欄を残しているものに、次のような広告を見る機会が増えた。 「司馬遼太郎に洗脳された日本人」 「司馬遼太郎の日本史」の罠 一般人のブログのみならず、有名ブロガーとしてネットに多くの読者を持つ…

塔の形而上学

▲ ピーター・ブリューゲルの『バベルの塔』 人間は、塔が好きだ。 古くは、旧約聖書の「バベルの塔」(← 本当にあったかは不明)に始まり、エッフェル塔やら、東京タワーやら、東京スカイツリーやら、ドバイのプルジェ・ハリファやら …… 。 何のためか、よく…

灰とダイヤモンド

祝祭(ダイヤモンド)と死(灰) 『灰とダイヤモンド』という言葉から、今の人たちは何を想いうかべるのだろうか。 2013年に、ももいろクローバーZがリリースしたアルバムの中に、そういうタイトルの歌があるという。 1994年までさかのぼれば、日本のロック…

アメリカ人は口で笑い、日本人は目で笑う

NHKのBSプレミアムで、面白い企画が放映されていた。 昨年の暮れだったか、今年の初頭だったか。 見た日付は忘れたが、興味深い内容だった。 どんな話か? 人間の目には、他の動物とは違った不思議な “機能” が隠されているというのだ。 つまり、ヒトは、現…

「色覚異常」は病気じゃない

昔、… 私が小学生だった頃(もう50年以上も前の話だ)、学校の健康診断に「色盲(しきもう)検査」という項目があった。 「色の識別が正しくできているかどうか」ということを検査するもので、“正常” とみなされない時には、「色盲」という(差別的な)診断…

映画『AI 崩壊』

AI が人間を裏切る日は来るのか? BSのWOWOWで、入江悠監督の『AI 崩壊』(2020年1月31日公開)を見る。 AI が、医療現場から交通システムに至るまで、国民のすべての生活をコントロールするようになった2030年の日本の姿を描いた映画だ。 そのAI が、人間に…

陰謀論が日本人を汚染し始めた

元アメリカ大統領のトランプ氏が、新大統領のバイデン氏にホワイトハウスを明け渡したことによって、ようやくバイデン新体制がスタートした。 この間、アメリカと日本のメディアは、「アメリカ社会の分断」という視点で、数々の問題が積み残されていると指摘…

映画 『トゥルーマン・ショー』

監視社会の中で生きるのは 幸福なのか悪夢なのか 1998年に制作されたピーター・ウィアー監督、ジム・キャリー主演のアメリカ映画。 『トゥルーマン・ショー』 2021年1月16日に、BSのWOWOWシネマで鑑賞。 封切り時に映画館で見たわけではないが、過去にテレ…

民主主義時代の終焉?

政治や社会における昨今のメディアの報道を見ていると、第二次大戦後、欧米を中心に尊重されてきた「民主主義」という政治理念が、ついに制度疲労を起こしてきたのではないか? と指摘する論調があまりにも増えてきたような気がする。 その一つの例が、昨年…