アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

評論

“9・11” という悪夢

ハイジャックされた旅客機が、アメリカのワールド・トレード・センター(世界貿易センタービル)に突入し、旅客機の乗客と実行犯、および倒壊したビルで働いていた関係者2,977人が死亡した2001年の「アメリカ同時多発テロ」。 一般的に、「9・11」といわれる…

司馬遼太郎に洗脳された日本人 … だってよ

近頃、いろいろな方のブログを拝読していると、広告の掲載欄を残しているものに、次のような広告を見る機会が増えた。 「司馬遼太郎に洗脳された日本人」 「司馬遼太郎の日本史」の罠 一般人のブログのみならず、有名ブロガーとしてネットに多くの読者を持つ…

リベラルとは何か

萱野稔人(かやの・としひと)著『リベラリズムの終わり その限界と未来』(2019年11月20日 幻冬舎新書)の感想 惜しい本である。 「狙い」はいいと思った。 しかし、結論を急ぎ過ぎたのか、なんとも消化不良を起こしたまま発行されてしまった本という気がす…

分断社会の心理学

アメリカの大統領選にほぼ決着がつき、トランプ氏やバイデン氏の報道も、もう日本のニュースではほとんど流れなくなった。 しかし、選挙の騒動から一ヶ月が過ぎ、ようやく見えてきたものがある。 それは、アメリカ社会に広がった「分断」の予想外の深さだ。 …

三島由紀夫 没後50年

作家の三島由紀夫が、自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた事件(1970年11月)から、今年で50年経つ。 それにちなんで、テレビも含め、いろいろなメディアで三島の生前の功績やあの事件の意味を問うような企画が続いた。 昨日の夜、その一つであるEテレの…

議論大歓迎!

トランプ的 “反知性主義” を語った当ブログに対する読者からの反論 下に紹介するのは、11月8日に私が掲載したブログ記事(「アメリカ社会の『分断』とは何か」)に対して、「タカ」さんと名乗る方から寄せられたご意見である。 この方とは、すでに過去2回…

AKB48が社会現象だった時代

2020年度NHKの紅白歌合戦の出場者が発表されたが、昨年まで12年連続出場していたAKB48が選考から落ちた。 櫻坂46、乃木坂46、日向坂46などは出場するらしいが、なんといっても、その手のガールズユニットの頂点に立っていたAKBが「紅白」に出ないということ…

アメリカ社会の「分断」とは何か?

日本時間の2020年11月7日(土)未明、アメリカの大統領選は、バイデン氏の勝利で終わった。 しかし、トランプ氏が負けを認めず、法廷闘争に持ち込もうとしているので、これから何が起こるのか、あいかわらず不透明な部分が消えない。 それはともかく、これ…

マルクスの『資本論』が再びブーム?

若者たちの『資本論』研究の背景にあるもの 今年になってから、若い学者たちの間で、マルクスの『資本論』を再評価する活動が盛んになっている。 今年の4月には、白井聡氏(43歳 京都精華大学教員)の『武器としての「資本論」』が出版され、かなりの話題を…

コロナ禍で解く『風の谷のナウシカ』

「新型コロナウイルス」という人類がはじめて遭遇した未知の “病原体” との戦いが長引くにつれ、 「コロナとの戦いは、人間に何を教えようとしているのか?」 ということを考える機運が、あちらこちらで生まれている。 たとえば、人類がこれまでに残した過去…

サラリーマンたちが演じる“やくざ映画”『半沢直樹』

やっぱ『半沢直樹』は面白いわ。 7月27日(日)に放映された第二話の視聴率は22.1%だったという。 私は、この視聴率がどれほど高いものなのかはよく分からないが、NHKがしきりに番宣を繰り返す大河ドラマ『麒麟がくる』の平均視聴率が15~16%台だというい…

7月のテレビ番組雑感

パソコンの調子が悪い。 … ということを、ブログの更新が途絶えた “言い訳” にするつもりもないのだが、テキストを入力したり、画像検索をしている途中で、モニターが突然ブラックアウトしてしまう。 原因は分からず。 ただ、強制終了するか、電源を一時的に…

『雲霧仁左衛門』と「陰翳礼讃」的な日本美学

NHK総合の「土曜時代ドラマ」枠で放映されている『雲霧仁左衛門』が楽しみになった。 ハードディスクに録画し、のんびりできる時間を見つけて、ゆっくり見ている。 もとは、BSプレミアムで、2013年から放送されていたものらしい。 いま流れているのは、その…

誰か『ワンピース』の面白さを教えてよ

BSのWOWOWシネマで、『ONE PIECE(ワンピース)』の劇場版アニメを延々と放映していた。 コロナ禍のせいか、最近のWOWOWシネマは、ステイホーム中の “子供&若者” 向けの企画ばかりで、私のような年寄りにはまったく面白くないのだけれど、そういうときに、1…

オリジナリティなど要らないとホリエモンは言った

誰でも、オリジナリティというものに生き甲斐を感じている。 作家や映画監督のように、創りだした作品そのものが、作者のオリジナリティを訴えるものとして評価されるような仕事もあるが、そんな大それたものでなくても、「俺しかできない仕事だ」と思える部…

貨幣のいたずらに人間は悩みかつ魅せられる

「岩井克人『欲望の貨幣論』を語る」について 「貨幣」とは何か? 誰にとっても自明な存在である “おカネ” というものは、実は人類がなかなか究明しきれない謎のかたまりであるそうな。 人々がおカネを欲しがるのは、どういう理由なのか? こんなバカげた質…

『松田聖子と中森明菜』80年代歌姫たちの対決

この2020年4月に、松田聖子はデビュー40周年を迎えたという。 40年前といえば、1980年。 山口百恵が引退して、日本の女性アイドルが変った年だ。 この1980年という年は、アイドルが変わっただけではなかった。 時代そのものが変化し始めていた。 その変化を…

カンブリア紀に栄えた恐怖の大魔王

最大・最強生物アノマロカリス 落ち込んでいるときは、古生物の話なんかにうつつを抜かしていると、癒される。 昔、「肺血栓症」の様態が安定するまで、病院の入退院を繰り返したり、家に閉じこもって安静を保った時期があった。 今のコロナ禍における「ステ…

なぜいまだに“昭和的なるもの”が話題になるのか?

平成が終わろうとしていたころ、「今の若者が昭和歌謡に夢中 … 」みたいな情報がマスコミに流れていたことがあった。 そのころ、ふと思ったことがあった。 そういう若者たちが、「昭和」という言葉からイメージしているものって、いったい何なのだろう? 「…

『資本論』は優れたエンターテイメントである

ここのところ、「資本主義」をテーマにしたブログ記事をやたら書いている。 新型コロナウイルスによって、各国の経済活動が “鎖国状態” に入り、グローバル資本主義に急ブレーキがかかったように見えてきたからだ。 そういう状況下では、法政大学の水野和夫…

資本主義は「煩悩」を全面開花させる

書評水野和夫 著 『資本主義がわかる本棚』 いま我々が暮らしている社会は、「資本主義社会」と呼ばれる社会である。 それがどんな社会かというと、「煩悩(ぼんのう)」をかぎりなく肯定していく社会といっていい。 「煩悩」とは仏教用語で、「人の苦の原因…

ドラマ『野ブタ … 』は何を訴えていたのか?

ネットニュースの「文春オンライン」(2020年5月16日)で、霜田明寛さんというライターが、15年ぶりに再放送されている『野ブタ。をプロデュース』が、なぜ今の時代に大反響を呼び起こしているのか? … ということを分析されていた。 私は、当時そのドラマを…

ソウル・ミュージック解説本の名著

高校生の頃、自分の好きな音楽が変った。 1960年代後半のことである。 それまでは、同じ年ぐらいの仲間と同じように、「ロック」と呼ばれる白人系の洋楽を聞いていた。 ビートルズやローリング・ストーンズというビッグネームはもちろん、クリーム、レッド・…

吉本隆明に対する二度目の挫折

合田正人氏の書いた『吉本隆明と柄谷行人』(PHP新書)という本を読んだ。 この二人の思想家の名前は、若い頃に人文系思想書に没頭したシニア世代なら、忘れられない名前かもしれない。 著者の合田氏がまさにその一人であるようだ。 「1975年に大学に入学し…

モノクロ画像による大人の写真集

写真評論エルンスケン 『セーヌ左岸の恋』 「大人」というのは、年齢のことではなく、文化概念である。 「ビールの苦さが分かるようになれば、大人だ」 などとよく言うけれど、ビールは子供が飲んでも、大人が飲んでも苦いことには変わりない。 しかし、その…

巣ごもり期間は『銃・病原菌・鉄』を読め!

新型コロナウイルスの感染拡大のせいで、カミュの『ペスト』が書店で売れているという。 『異邦人』などの有名な著書に隠れて比較的地味な扱いを受けていた本だが、緊急事態宣言が発令され、自宅待機を余儀なくされた人たちが読書に関心を向けたという理由も…

村上春樹はもうノーベル賞を取れない

毎年この季節になると、村上春樹がノーベル文学賞を取るかどうかという話題がメディアに採り上げられるが、今年もそれは叶わなかった。 毎度のことなので、“ハルキスト” と呼ばれるファン層の落胆ぶりもそれほど話題にならなかった。 たぶん多くの日本人は分…

カントリーミュージックからアメリカを読む

10代の頃からずっと洋楽を聞き続けて、60年以上経つ。 1960年代初頭のコニー・フランシスやニール・セダカのようなアメリカンポップスに始まり、ビートルズ、ストーンズ、さらにはクリーム、レッドツェッペリンというUKロックに移行し、その後はアメリカのソ…

日本人の心を劇的に変えた「平成」

今週のお題「平成を振り返る」 昭和的な幸福感と決別した時代 平成という時代は、一言でいうと、世界経済のグローバル化に翻弄され、昭和の時代に日本が蓄えたさまざまな資産をすべて喪失した時代だったといえる。 劇作家の宮沢章夫によると、 「(平成は)…

「コミュ力」という言葉の軽さ  

前回のブログで、 「平成という時代は、コスパ思想が席巻した時代だった」 という内容の記事を書いたが、実はもうひとつ、「平成」の精神風景を語るときに無視できない概念がある。 それが、「コミュ力」という言葉だ。 平成という時代は、老いも若きも「コ…