アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

漫画

海辺の叙景(つげ義春の「夏」)

つげ義春は、“夏の漫画家” である。 彼の重要な作品、もしくは、作品の中の重要な部分には、必ず「夏」の気配が深く刻印されている。 もちろん彼は、夏ばかりを作品の “舞台” として選んでいるわけではない。 木枯らしの吹く晩秋を描くこともあれば、粉雪の…

さいとうたかお&白土三平

9月24日に亡くなった劇画家のさいとうたかお氏に続き、この10月8日に、白土三平氏が亡くなった。 さいとうたかお84歳。 白土三平89歳。 日をおかず、昭和の劇画界の巨人が相次いで逝去したことになる。 ともに一時代を築きあげた人たちだった。 私は、特に…

ミニーマウスのエロティシズム

世界でいちばん色っぽいネズミは、ミニーマウスだろうな。 物心がついた頃、俺がいちばん欲情したのは、ミニーマウスの後ろ姿だった。 いやぁ、物騒な書き出しになってしまったなぁ(汗) ▼ 僕のミニー! ディズニーは版権がうるさそうだから、自分で描いた …

誰か『ワンピース』の面白さを教えてよ

BSのWOWOWシネマで、『ONE PIECE(ワンピース)』の劇場版アニメを延々と放映していた。 コロナ禍のせいか、最近のWOWOWシネマは、ステイホーム中の “子供&若者” 向けの企画ばかりで、私のような年寄りにはまったく面白くないのだけれど、そういうときに、1…

諸星大二郎『暗黒神話』

スケール感にあふれる壮大な宇宙ロマン 諸星大二郎の『暗黒神話』を、また読み返す。 何度読んでも、面白い。 ストーリーが分かっていても、絵を観るだけで楽しい。 歴史、古代神話、考古学、宇宙科学という取り合わせによって描かれる彼の宇宙ロマンは、と…

ゲゲゲの水木しげるさん

もう30年ぐらい前の話になるのだろうか。 昔、まだ乗用車メーカーのPR誌を編集していた頃、漫画家の故・水木しげるさんに取材したことがあった。 当時、水木さんは、『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビアニメ化も評判となり、売れっ子漫画家としての道をひたすら走…

「人生最後の読書」に選ぶ本

文芸批評光瀬龍 『百億の昼と千億の夜』 私たちが把握できる “宇宙” はどこまでか 我々が把握できる「空間」と「時間」は、はたしてどのくらいの規模までなのだろうか。 もし、目に見える範囲なら、我々は経験上、およその「空間」と、そこに至るまでの「時…

山岸凉子 『日出処の天子』

漫画批評魔性を秘めた美少年の妖しさ 「BL(ボーイズ・ラブ)は女性だけのものか?」 と、男性の私はよくそう思う。 というのは、自分が “BL漫画” にとことんハマった時期があったからだ。 男がハマれば、「ストレートなホモってことじゃない?」と言われそ…