アートと文藝のCafe

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2022-01-01から1年間の記事一覧

サッカー解説にも新しい波

日本中が熱気に包まれたサッカーのワールドカップが終わってしまった。 今回も、結局日本チームは「ベスト8」の壁を打ち破ることができず、テレビを通じて観戦していた自分としては悔しい思いをしたが、しかし今回の「ベスト16」進出は、今までとは違ったも…

“玉川徹問題” にみる電通文化の終わり

19日(水曜日)。 テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」の冒頭に、10日間の謹慎処分を解かれたコメンテーターの玉川徹氏が登場し、「電通と菅氏には申し訳ないことをした」と謝罪。 「今後は現場の取材を中心に番組構成に携わる」と発言した。 つまり今…

安倍氏の「国葬」問題が暴き出したもの

2022年 9月27日(火曜日)。 安倍晋三元首相の「国葬」が行われた。 最後まで賛否両論に分かれた国葬だった。 葬儀場となった武道館周辺では安倍氏を偲んで献花に訪れる人々が長蛇の列をつくったが、一方、その近くでは「国葬反対」のプラカードを掲げた市民…

カラバッジョの謎の作品

恐くて、美しい眼の女 かくも恐ろしく、かつ美しい眼をした女性を描いた絵を、ほかに知らない。 タイトルは、「ホロフェルネスの首を斬るユディト」。 西洋絵画ではおなじみのテーマで、クラナッハ、クリムトなど有名な画家の無数の作品が残されている。 し…

他国に軍事介入した国は必ず失敗する

プーチン大統領のロシア軍が隣国ウクライナに侵攻して2ヶ月が経ったが、相変わらず、各国のニュースが戦況の報告に時間を割いている。 そういう報道のなかで、 「ロシアは悪。ウクライナは善」 という単純な二分法を批判する意見が目立つようになってきた。…

思ってもいない言葉が口をつく

人間、追いつめられて、疲労も蓄積してくると、頭脳と肉体がそれぞれ別の方向に向かって歩き出してしまうことがよくある。 思ってもいない言葉が、ふと口をつくというヤツ。 いくつかの例があるが、私の場合、そのひとつが、「意味のない独り言」。 先だって…

庄野潤三の小説に流れる不思議な空気感

庄野潤三の短編集『プールサイド小景・静物』(新潮文庫)を買った。 収録されていた七つの短編にはそれぞれ独特の空気があって、どれも不思議な気分にさせられた。 どの作品も、昭和25年(1950年)から昭和35年(1960年)までの間に書かれたものである。 芥…

ロシア人が「プーチン幻想」から覚める日

ここ一ヶ月ほど、全世界のテレビ、新聞、雑誌、SNSなどを通じて一番連呼された人の名前は、 「プーチン」 ではなかろうか。 なにしろ、この名前の露出度は、ここ3ヶ月ほど群を抜いている。 政治家としてはバイデン、トランプ、習近平、金正恩などというビッ…

高田純次になりたい

あなたには憧れのシニアタレントって、いる? たとえばさぁ、「年取ったら、こんな人間になってみたい」というような人とかさぁ。 そういう人、いる? 俺の場合は、高田純次。 いま75歳だよね、この人は … 。 で、俺も75歳になったときには、高田純次みたい…

言葉にならないもの(柄谷行人について)

柄谷行人(からたに・こうじん)という批評家の本について、以前にも書いたことがあったが、そのなかの『意味という病』(1975年)という本をもう一度取り上げてみたい。 この著作は、シェークスピアの『マクベス』を論じた「意味に憑かれた人間」を中心に構…

オウム真理教とは何だったのか? (2)

※ 前回のブログ ↓ (2022年3月24日)の続き オウムの教義は資本主義のメカニズムをなぞった オウムの元信者たちのインタビューで構成された『約束された場所で』(1998年刊)という本で、著者の村上春樹は、オウム信者たちの奇妙な平板さに貫かれた精神に違…

オウム真理教とは何だったのか? (1)

村上春樹とオウム信者の対談 27年前、オウム真理教という宗教が当時の若者たちを惹きつけた理由は何だったのか。 小説家の村上春樹は、オウムの元信者たちにインタビューした『約束された場所で』(1998年刊 写真上)という書物で、オウムに関わった人々の精…

オウムのチープな教義を笑えるか?

「地下鉄サリン事件」が起こって、27年経った。 といっても、若い世代では事件そのものを知らない人も多いかもしれない。 1995年(平成7年)3月20日。 東京メトロの地下鉄車両内で発生した同時多発テロで、宗教団体のオウム真理教が地下鉄車両に神経ガスのサ…

ディープフェイクの時代

ウクライナ危機がどういう解決を見せるのか。 ロシア軍の侵攻が始まって1ヵ月ほど経った今も、いまだにその出口が見えない。 停戦の話が進んでいるとも聞くが、ロシア軍の “時間稼ぎ” という見方もあり、悲惨な状況はまだまだ続きそうだ。 いずれにせよ、こ…

掌編小説 『手を拾う』

夜の歩道に、人の手が落ちていた。 ひからびた枯葉のように縮こまりながら、それでも最後の力を振り絞って、その手が助けを呼んでいるように見えた。 近づくと、ただの手袋だった。 風が舞って、手袋が揺れたのだ。 ニットで編まれた、ありふれた手袋。 近く…

プーチンのウクライナ侵攻は「気候変動」説で説明できる?

ロシアのプーチン大統領は、なぜウクライナへの侵攻を始めたのか。 それに関しては、 ① プーチンがNATOの東方拡大を恐れたから。 ② 彼がロシア帝国の復活という野望をいだいたから。 ③ ウクライナにいた親ロシア系住民を、ウクライナのネオナチ勢力が大量虐…

柄谷行人の初期文芸評論三部作

自分の生き方にふと迷いが生じたり、思考が行き詰まったり、周りの状況が霧に包まれてきたように感じられたときは、必ず読み返す本がある。 『畏怖する人間』(1972年) 『意味という病』(1975年) 『マルクスその可能性の中心』(1978年) の3冊だ。 著者…

プーチンを評価する日本のユーチューバーたち

“ウクライナ危機” に対して、日本のYOUTUBERたちがどのような意見を持っているのか。 それを知るために、いくつかの動画サイトを覗いてみた。 すると、いま意外なことが広がりつつあることが分かった。 というのは、「プーチンの正義」を謳うYOUTUBERたちが…

サイバー攻撃の時代をどう生き抜くのか

今、世界のほとんどの人が、刻々と変化しているウクライナ情勢をテレビなどでフォローしているはずだ。 大方のメディアの論調では、「民主主義国家」のウクライナ側と、それを弾圧しようとする独裁者プーチンが率いる「専制主義国家」ロシアという構図で整理…

ウクライナ危機で世界の民主主義は衰退する

ついに、ウクライナに対するロシア軍の全面侵攻が始まったようだ。 昼間にテレビを見たときの情報(日本時間14:00のテレビ報道)によると、ウクライナの主要都市数ヵ所で、ロシア軍からと思われるミサイル攻撃が確認され、キエフ近くの空港では銃撃戦も始ま…

「サクセス・ストーリー」の時代を終わらせた羽生結弦

ブログの更新をサボっているうちに、面白いネタが書けそうな出来事がいろいろ起こった。 今回は、ブログを再開する意味で、それらを少し整理してみたい。 まずは今週閉幕した北京(冬季)オリンピックの話題。 日本選手のメダル獲得数が過去最多となったとい…

義経は遊牧民のメンタリティーを持っていた

この1月に始まった大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。 NHKは総力戦で番宣に臨んでいる。 同局は、BSを含めるとたくさんの歴史番組を持っているが、そこで取り上げられたテーマの大半は鎌倉武士たちの話だ。 たとえば、BSプレミアム「英雄たちの選択」のタイトル…

「鎌倉殿の13人」好スタート

NHKの新・大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、まぁまぁのスタートを切ったようである。 ネットニュースなどを見ていると、初回の視聴率も17.3%と上々。 視聴者の声も好意的な意見が多数を占めていた。 実際、見ていた私も、「面白い」と思った。 さすが三谷幸喜…

情報としての価値を帯びてきた「ノイズ」という言葉

「ノイズ」という言葉が、時代のキーワードになりそうな気配がある。 単純に訳すと、「雑音」。 つまり、耳障りで不快な音。 しかし、街中に氾濫するその「ノイズ」を集めて楽曲をつくるアーティストがいるという。 「VIDEO TAPE MUSIC」さん(下 38歳)。 …

歌謡曲はどこへ行く?

年末から正月にかけて、歌番組ばかり見ていた。 「レコード大賞」、「紅白歌合戦」、「第54回 年忘れにっぽんの歌」などという番組である。 「紅白」と「年忘れ」はほぼ同じ時間帯だったので、どちらかがつまらなくなると、チャンネルを変えていたのだけれど…

謹賀新年 2022

新年、明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願い申し上げます。 皆様、今年はどのように迎えられましたか? 小生は、例年と同じで、大みそかは近所のお蕎麦屋さんから “年越し蕎麦” の出前を頼み、それをつまみに日本酒を飲み、「紅白歌合戦」…