アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

音楽

蘇れ!マカロニ・ウエスタン

作曲家のエンニオ・モリコーネが亡くなった(2020年7月6日)。 追悼ニュースでは、『アンタッチャブル』、『ニューシネマ・パラダイス』などといった映画音楽の作曲家として紹介されていた。 しかし、私のようなシニア世代からみると、エンニオ・モリコーネ…

岸辺のアルバム

1974年、台風16号により多摩川の堤防が決壊し、周辺住宅の19棟が水没したという事故(多摩川水害)が起こった。 その事故を題材に企画されたテレビドラマが、『岸辺のアルバム』だった。 2020年6月30日の「アナザーストーリーズ」(NHK BSプレミアム)で、こ…

かまやつひろし『どうにかなるさ』

キャンピングカーの中の「独り宴会」が好きである。 仮に泊まるところが、RVショー会場の駐車場であっても、酒と音楽があれば、窓の外の風景が無味乾燥だろうが、話し相手がいなかろうが、まったく苦痛ではない。 ただ、酒はなくても、音楽がないと、ちと淋…

この季節にぴったりの曲「雨に微笑を」

深夜放送っていうのだろうか。 『音楽のある風景』 深夜の12時を回ってから、BSで毎晩放映している音楽番組。 … つぅか、通販CDのテレビショッピング番組なんだけど、70年代、80年代あたりのヒット曲をごく短く切り取ってオンエアしていく放送がある。 で、…

1960年代の前衛ジャズ

ジョン・コルトレーンの『スピリチュアル』について ▼ ジョン・コルトレーン 「ジャズ」という言葉から、多くの人は何を連想するのだろうか。 この言葉から、即座に「マイルス・デイビス」とか、「ジョン・コルトレーン」などという固有名詞を思い浮かべる人…

SOULコンサートにおけるコール&レスポンス

最近のニュースを見ていると、アメリカにおける黒人と白人の人種対立が激化している様子が伝わってくる。 黒人音楽を通じて黒人文化に親しみを感じてきた私には辛い話だが、今回のコロナ禍が、黒人と白人の労働環境の違いを浮き彫りにしてしまったような気が…

『松田聖子と中森明菜』80年代歌姫たちの対決

この2020年4月に、松田聖子はデビュー40周年を迎えたという。 40年前といえば、1980年。 山口百恵が引退して、日本の女性アイドルが変った年だ。 この1980年という年は、アイドルが変わっただけではなかった。 時代そのものが変化し始めていた。 その変化を…

ニール・ヤング的哀愁

ニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』が発売されたのは、1970年だった。 その年、日本では学生運動が各地に広がり、よど号ハイジャック事件があり、三島由紀夫の割腹自殺があり、社会は騒然とした雰囲気に包まれていた。 その一方で、「人…

ソウル・ミュージック解説本の名著

高校生の頃、自分の好きな音楽が変った。 1960年代後半のことである。 それまでは、同じ年ぐらいの仲間と同じように、「ロック」と呼ばれる白人系の洋楽を聞いていた。 ビートルズやローリング・ストーンズというビッグネームはもちろん、クリーム、レッド・…

映画『嵐を呼ぶ男』の主題歌は隠れた名曲だ

両親は日本人なのに、突然変異的に西洋人のハーフのような顔つきで生まれてしまった子どもがいる。 音楽にも、そういうものがある。 出自は歌謡曲ながら、奇妙に “洋楽っぽい” 部分が突如顔を出すというような曲があるのだ。 昭和歌謡に多い。 こういう曲に…

ビートルズに出会うまで(私の音楽遍歴)

自分の洋楽体験の話を少しする。 私は、1950年生まれ。 これを書いている2020年で、70歳になる。 もの心がついた頃、… つまり5~6歳ぐらいだった自分の周りには、童謡か歌謡曲しかなかった。 J ポップなどあるわけもなく、ジャズもロックもなかった。 当時…

メジャーセブンスの魔法

「都会の夜」を音楽で表現するときの和音 「都会の夜に似合うサウンド」 そんな言葉があったら、多くの人はどんな音楽を連想するだろうか。 私の場合は、一言ですむ。 メジャーセブンス系の和音で作られた音だ。 まばゆいネオンライトに照らされたストリート…

石原裕次郎はどういう人たちのスターだったのか?

今回の話は、年齢的にいうと、70歳ぐらいのシニア層を対象としたテーマである。 つまり、“裕次郎スナック” というものに行ったときの印象記だ。 もちろん、そんな名前のスナックがあるわけはないのだけれど、そこのママさんが若い頃から熱狂的な石原裕次郎の…

ボブ・ディランという「荒野」 

ディランの声は何を意味するのか ボブ・ディランというアーチストを語ることは、私にはとても難しい。 ビートルズのデビューとほぼ同じ頃に登場し、60年代、70年代を代表する数々の名曲をリリースし、現在も第一線で活躍するスーパーアーチストなのだが、な…

自分にとって最高のドライブ音楽

オールマン・ブラザーズ・バンド(写真下)の音を最初に聞いたのは、ラジオのFM放送だったが、あるいはFENだったか。 放送局も番組名も忘れてしまったが、曲名だけははっきりしている。 『ジェシカ』だ。 1973年に発表された『ブラザーズ&シスターズ』のな…

陽水の歌が漂わす「死の匂い」

テレビなどで、シンガーソングライター井上陽水の特集を見る機会が増えた。 昨年(2019年)11月27日には、作家の高橋源一郎、朝吹真理子、音楽家の小室等らが陽水の世界観を “文学” のように語り合う『深読み音楽会』(NHKのBSプレミアム)という番組が放映…

ジェリー四方&エディー早川ライブ

10月13日(日)、東京・世田谷区の梅ヶ丘で、ジェリー四方とエディー早川のライブコンサートが開かれた。 ▼ Jerry四方氏(右)&Eddie早川氏(左) この二人は、もともと「Jerry Shikata & Rock-O-Motions(ジェリー四方&ロコモーションズ)」という4人編…

カントリーミュージックからアメリカを読む

10代の頃からずっと洋楽を聞き続けて、60年以上経つ。 1960年代初頭のコニー・フランシスやニール・セダカのようなアメリカンポップスに始まり、ビートルズ、ストーンズ、さらにはクリーム、レッドツェッペリンというUKロックに移行し、その後はアメリカのソ…

ザ・ローリング・ストーンズのブルースまでの長い旅

ザ・ローリング・ストーンズ展 5月6日まで開催 5月6日まで、東京の「TOC五反田メッセ」で、「ザ・ローリング・ストーンズ展」が開かれている。 それを記念して、4月19日(金)には、彼らの最新CD『HONK』も発売された。 この『HONK』は、これまでの彼らのヒッ…

井上陽水の天才性を証明した『傘がない』

「天才」とは、自分の凄さみたいなものは確信しているけれど、「どう凄いのか」ということを自分で説明できない人のことをいう。 そういう意味で、井上陽水というミュージシャンは、天才ではないのか。 この土曜日、NHKの歌番組『SONGS「井上陽水」』の2回…

60年代R&Bバラードの頂点に立つ男スモーキー・ロビンソン

音楽の好みでいえば、1960年代から70年代初頭のリズム&ブルースがいちばん好きである。 仕事で頭が疲れてくると、まずグラスにペットボトルの紅茶を注ぎ、そこにウィスキーを数滴垂らす。 それをチビチビ舐めながら、パソコンの前に座り、YOU TUBEを頼りに、…

「ジェリー四方」の梅丘(世田谷)ライブ

東京の赤坂を中心に、西麻布、銀座のライブハウスで活動している「Rock-O-Motions(ロコモーションズ)」というバンドがある。 そのリーダーのJerry四方(四方寿太郎・しかたじゅたろう)氏(写真下)というのが、私の高校時代の同期生だ。 年齢的にいうと、…

1978年に女の歌が変わった

エッセイ 男から脱出した女たち 昭和歌謡を振り返ってみると、女性シンガーの歌が途中からガラっと変わる時期がある。 1970年代の後半あたりからだ。 女たちが、自分の正直な気持ちを歌い始めたといっていい。 たとえば、杏里の『オリビアを聴きながら』。 …

アフロヘア・ガール

めちゃめちゃに、ブラックミュージックに凝っていた時期があった。 20代のはじめの話だ。 大学は卒業したけれど、職がなくて、アルバイトをやっていた。 イタリアンレストランだったが、ハンバーグもカレーもあるっていう店。 1階と2階に分かれていて、2…

陳腐な言葉の新鮮なニュアンス

歌謡曲批評『よこはま・たそがれ』 五木ひろしの『よこはま・たそがれ』という曲をはじめて聞いたのは、もう50年くらい前の話になる。 私はまだ二十歳だった。 最初に聞いたのは、五木ひろしの歌ではなかった。 友人の一人が、マージャンの牌をつまみながら…

ローリング・ストーンズとビートルズの違い

The Rolling Stonesとは編集 20世紀を代表する英国の大御所ロックバンド。1963年のレコードデビュー以来、今なお現役で活動する。 ローリング・ストーンズ、ストーンズとも。 メンバー 幼馴染で、共にブルースを愛したミック・ジャガー(vo)とキース・リチャ…

OLDMAN

OLD MAN オールドマン 午後のスタンドカフェで、ぽつねんと、外の景色を見ている老人がいた。 喫煙席だった。 人がまばらに座った客席から、いく筋かの紫煙がのぼっていた。 老人はタバコを吸わないようだ。 喫煙席には、間違えて入ってきたのかもしれない。…

ウィンダム・ヒル サウンドの静けさの秘密   

音楽・絵画評論音の抽象画 ウィンダム・ヒル 1980年代というと、日本では「バブルの熱狂」に覆われた時代というイメージがある。 しかし、今でこそそういう印象が強いが、少なくとも80年代が始まったとき、それはむしろ奇妙に冷えた時代が訪れたように思えた…

パンクを神話に高めた男の短い生涯   

昔の映画の現代的鑑賞法 映画批評 シド・アンド・ナンシー パンクは嫌いだった 1970年代半ば、パンクロックが生まれて、ニューヨークとロンドンのロックシーンが大きく変わろうとしていた頃、私は「聞く音楽」をなくしていた。 大好きだった黒人ソウルミュー…

ハワイアン サウンドの快楽

音楽批評カントリー・コンフォート とジョン・クルーズ サーフィンもできない。 まず、第一に泳げない。 犬かきで2mも進めば、自分としては上出来なのだ。 それでも、無類に「南の海」が好きだ。 「時間があったら何がしたいか」と問われたら、使いこなせ…