アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

音楽

ジャズはいつだって大人の音楽

昔から、ジャズを聞いていると、いつも「大人の音」というイメージを持つことが多かった。 その気分を伝えるためのうまい言葉がなかなか見つからない。 強いていえば、大人の切なさ、大人の粋さ、大人のカッコよさ、大人のずるさといったものが、モヤモヤと…

歌声喫茶

「歌声喫茶」という喫茶店がある。 ロシア民謡とか昔の小学唱歌のような歌を、店に居合わせたお客たちが一斉に合唱する喫茶店のことだ。 ▼ 「歌声喫茶」 BSフジ『昭和は輝いていた』より そういう店が都内にもたくさんあるという話を聞いたのは、50年以上も…

歌謡曲はどこへ行く?

年末から正月にかけて、歌番組ばかり見ていた。 「レコード大賞」、「紅白歌合戦」、「第54回 年忘れにっぽんの歌」などという番組である。 「紅白」と「年忘れ」はほぼ同じ時間帯だったので、どちらかがつまらなくなると、チャンネルを変えていたのだけれど…

Born Under A Bad Sign

ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン 日本語に訳せば、「悪い星の下に生まれて」。 “ほんとにツキのねぇ人生だぜぇー” … ってな意味である。 この言葉は、黒人のブルース奏者アルバート・キング(下)が大ヒットさせた曲名としてよく知られている。 ▼ Albe…

ユー・ガッタ・ア・フレンド

1970年。 20歳だった私は、レッドツェッペリン、サンタナ、グランドファンクレイルロードなどといったROCKを聞いていた。 そういうものが “音楽” だと思い込んでいたから、アコースティックギターをチョロチョロとかき鳴らすフォークソングっぽい曲を小馬鹿…

バンド「漁港」のマグロ節

スーパー地下のフードコーナーに行った。 買い物カゴをひょいとつかんで、カートに載せ、 「さぁて、晩メシのおかずは何にするべぇ … 」 と、おもむろに歩き出したとき、売り場のはずれから “太鼓ドンドン” の景気いい音楽が流れてくるじゃありませんか。 「…

「うでまくら」(日暮し)で歌われた世界の終わり

▲ 日暮し 人間にとって、いちばん恐ろしいのは「恋愛の終焉」の場に立ち尽くすことである。 もちろん、戦争や災害、食糧難による飢餓は恐ろしい。 「今は細々と食っていけるけど、明日は食えなくなるかもしれない」という経済危機や雇用危機の方が、確かに「…

『飾りじゃないのよ涙は』の衝撃

クラシック J ポップ「飾りじゃないのよ涙は」 こんにちわ。 ディスクジョッキーたぬき がお送りする「クラシック J ポップ」の時間がやってまいりました。 さて、今日は、1984年に中森明菜さんがヒットさせた『飾りじゃないのよ涙は』を取り上げてみようと…

自分にとって最高のドライブ音楽は「ジェシカ」

オールマン・ブラザーズ・バンドの 「ジェシカ」 ※ 2020年の1月にUPしたものを多少改稿して再録 オールマン・ブラザーズ・バンド(写真上)の音を最初に聞いたのは、ラジオのFM放送だったが、あるいはFENだったか。 放送局も番組名も忘れてしまったが、曲名…

チャーリーの太鼓

イギリスのロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ」のドラマー チャーリー・ワッツが先月(8月)24日に80歳で亡くなった。 すでに、10日以上経つが、いまだに小さなニュース記事などにチャーリー・ワッツの訃報が載っているのを見る。 世間一般では、そ…

黒人音楽フェスの “奇跡” 『サマー・オブ・ソウル』

1960年代ブラックミュージックのすべて 50年間眠っていたライブ映像を神わざ的な編集作業で復活させた『サマー・オブ・ソウル』。 ついにこの8月27日(金)に日本公開が実現した。 この俺が、見ないわけにはいかないじゃないか! 1969年、夏。 あの有名なウ…

名曲ありて「名画」あり

ある日どこかで 「名画」とは何か? この言葉が意味するものには、絵画と映画の両方があるが、とりあえず映画における「名画」を考えてみる。 感動を得られたもの。 深い印象を与えてくれたもの。 無類に面白かったもの。 …… などなど、「名画」といわれる映…

この世の果てから届く音

処女航海/リターン・トゥ・フォーエバー この世には、物理的にも理念的にも、人間がたどり着くことのできない領域というものがある。そこから先は、人間が足を踏み入れてはならないと思わせるような “場所” がある。 そういう “場所” を、仮に「この世の果…

しみじみと夜が来る

いよいよ、今年もあと2日を残すばかり。 やっぱり、この時期は、なんとなく酒が恋しくなる。 コロナ禍のことでもあるので、家の中で、家族とか、本当に気の合った人間と過ぎ行く一年を振り返りつつ、お互いに照れながら、「俺たち老けたなぁ … 」とか笑って…

外は白い雪の夜

こんな悲しい別れの歌って、ほかにあるのだろうか? 『外は白い雪の夜』。 この季節になると、必ず思い出す歌のひとつだ。 作曲は吉田拓郎。 作詞は松本隆。 この歌が発表されたのは、1978年。 私は20代半ばだった。 しかし、当時、私はこの歌をリアルタイム…

作詞のコツ

夕食を食いながら、テレビで「日本作詞家大賞」の選考会を兼ねた歌番組を観ていた。 大半が演歌である。 テロップに流れる歌詞だけ眺めていると、どれもたいしたことのない詞に思える。 ありきたりの言葉だけが連なる何のヒネリもない詞ばかり。 …… と思って…

ジョン・レノン『イマジン』の世界観とは何か?

NHKのBSプレミアムで、『“イマジン” は生きている』というドキュメンタリー番組が放映された。(2020年11月21日) 現在東京で開かれている『DOUBLE FANTASY - John & Yoko』展に焦点を合わせた企画らしい。 この『イマジン』という曲が誕生したのは、1971年…

若者たちの昭和歌謡ブーム

「昭和歌謡」に興味を抱く、平成世代の若者が増えているという。 あるワイドショーを見ていたら、(どの番組か忘れたが … )、レポーターが街行く若者にマイクを突き付け、「昭和歌謡をどう思うか?」と聞きまくっていた。 それに答えた若者たちの話を総合す…

筒美京平の “マジック昭和歌謡”

「歌謡曲」って、食べ物でいうと、カツ丼とか、カレーうどんのようなものかもしれない。 「演歌」(和食)ではない。 でも、「洋楽」(フレンチやイタリアン)でもない。 そのどちらでもない不自然さを持ちながら、誰一人、その不自然さに気づかないような存…

日本人は「夏歌」を作るのがうまい

夏をテーマにしたJ ポップには名曲が多い。 その理由は、前回のブログ(竹内まりやの『夏の恋人』)でも書いたが、夏という季節が、その真っ盛りにおいても、「終わりの気配」を秘めた季節だからである。 つまり、夏を歌うことは、「哀切感」と向き合うこと…

竹内まりや 『夏の恋人』

四季の中で、いちばん寂しい季節は、秋でも、冬でもなく、夏だ。 草原も樹木も、燃え立つような生命感をみなぎらせる夏。 空と海が、限りなく膨張していくような解放感を漂わせる夏。 しかし、だからこそ、ちょっとした陽の陰った軒先や、光り輝く樹木の葉の…

アリシア・キーズのエジプトメイク

Alicia Keysの『The Life』という曲が気に入っている。 どこかカーティス・メイフィールドの『Give Me Your Love』に似たリズムを持っていて、心地よい。 ▼ Alicia Keys 『The life』 youtu.be で、俺、こういう目つきの女に弱いのよ。 仕事に疲れてくると ……

蘇れ!マカロニ・ウエスタン

作曲家のエンニオ・モリコーネが亡くなった(2020年7月6日)。 追悼ニュースでは、『アンタッチャブル』、『ニューシネマ・パラダイス』などといった映画音楽の作曲家として紹介されていた。 しかし、私のようなシニア世代からみると、エンニオ・モリコーネ…

岸辺のアルバム

1974年、台風16号により多摩川の堤防が決壊し、周辺住宅の19棟が水没したという事故(多摩川水害)が起こった。 その事故を題材に企画されたテレビドラマが、『岸辺のアルバム』だった。 2020年6月30日の「アナザーストーリーズ」(NHK BSプレミアム)で、こ…

かまやつひろし『どうにかなるさ』

キャンピングカーの中の「独り宴会」が好きである。 仮に泊まるところが、RVショー会場の駐車場であっても、酒と音楽があれば、窓の外の風景が無味乾燥だろうが、話し相手がいなかろうが、まったく苦痛ではない。 ただ、酒はなくても、音楽がないと、ちと淋…

この季節にぴったりの曲「雨に微笑を」

深夜放送っていうのだろうか。 『音楽のある風景』 深夜の12時を回ってから、BSで毎晩放映している音楽番組。 … つぅか、通販CDのテレビショッピング番組なんだけど、70年代、80年代あたりのヒット曲をごく短く切り取ってオンエアしていく放送がある。 で、…

1960年代の前衛ジャズ

ジョン・コルトレーンの『スピリチュアル』について ▼ ジョン・コルトレーン 「ジャズ」という言葉から、多くの人は何を連想するのだろうか。 この言葉から、即座に「マイルス・デイビス」とか、「ジョン・コルトレーン」などという固有名詞を思い浮かべる人…

SOULコンサートにおけるコール&レスポンス

最近のニュースを見ていると、アメリカにおける黒人と白人の人種対立が激化している様子が伝わってくる。 黒人音楽を通じて黒人文化に親しみを感じてきた私には辛い話だが、今回のコロナ禍が、黒人と白人の労働環境の違いを浮き彫りにしてしまったような気が…

『松田聖子と中森明菜』80年代歌姫たちの対決

この2020年4月に、松田聖子はデビュー40周年を迎えたという。 40年前といえば、1980年。 山口百恵が引退して、日本の女性アイドルが変った年だ。 この1980年という年は、アイドルが変わっただけではなかった。 時代そのものが変化し始めていた。 その変化を…

ニール・ヤング的哀愁

ニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』が発売されたのは、1970年だった。 その年、日本では学生運動が各地に広がり、よど号ハイジャック事件があり、三島由紀夫の割腹自殺があり、社会は騒然とした雰囲気に包まれていた。 その一方で、「人…