アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

音楽

ビートルズに出会うまで(私の音楽遍歴)

自分の洋楽体験の話を少しする。 私は、1950年生まれ。 これを書いている2020年で、70歳になる。 もの心がついた頃、… つまり5~6歳ぐらいだった自分の周りには、童謡か歌謡曲しかなかった。 J ポップなどあるわけもなく、ジャズもロックもなかった。 当時…

メジャーセブンスの魔法

「都会の夜」を音楽で表現するときの和音 「都会の夜に似合うサウンド」 そんな言葉があったら、多くの人はどんな音楽を連想するだろうか。 私の場合は、一言ですむ。 メジャーセブンス系の和音で作られた音だ。 まばゆいネオンライトに照らされたストリート…

石原裕次郎はどういう人たちのスターだったのか?

今回の話は、年齢的にいうと、70歳ぐらいのシニア層を対象としたテーマである。 つまり、“裕次郎スナック” というものに行ったときの印象記だ。 もちろん、そんな名前のスナックがあるわけはないのだけれど、そこのママさんが若い頃から熱狂的な石原裕次郎の…

ボブ・ディランという「荒野」 

ディランの声は何を意味するのか ボブ・ディランというアーチストを語ることは、私にはとても難しい。 ビートルズのデビューとほぼ同じ頃に登場し、60年代、70年代を代表する数々の名曲をリリースし、現在も第一線で活躍するスーパーアーチストなのだが、な…

自分にとって最高のドライブ音楽

オールマン・ブラザーズ・バンド(写真下)の音を最初に聞いたのは、ラジオのFM放送だったが、あるいはFENだったか。 放送局も番組名も忘れてしまったが、曲名だけははっきりしている。 『ジェシカ』だ。 1973年に発表された『ブラザーズ&シスターズ』のな…

陽水の歌が漂わす「死の匂い」

テレビなどで、シンガーソングライター井上陽水の特集を見る機会が増えた。 昨年(2019年)11月27日には、作家の高橋源一郎、朝吹真理子、音楽家の小室等らが陽水の世界観を “文学” のように語り合う『深読み音楽会』(NHKのBSプレミアム)という番組が放映…

ジェリー四方&エディー早川ライブ

10月13日(日)、東京・世田谷区の梅ヶ丘で、ジェリー四方とエディー早川のライブコンサートが開かれた。 ▼ Jerry四方氏(右)&Eddie早川氏(左) この二人は、もともと「Jerry Shikata & Rock-O-Motions(ジェリー四方&ロコモーションズ)」という4人編…

カントリーミュージックからアメリカを読む

10代の頃からずっと洋楽を聞き続けて、60年以上経つ。 1960年代初頭のコニー・フランシスやニール・セダカのようなアメリカンポップスに始まり、ビートルズ、ストーンズ、さらにはクリーム、レッドツェッペリンというUKロックに移行し、その後はアメリカのソ…

ザ・ローリング・ストーンズのブルースまでの長い旅

ザ・ローリング・ストーンズ展 5月6日まで開催 5月6日まで、東京の「TOC五反田メッセ」で、「ザ・ローリング・ストーンズ展」が開かれている。 それを記念して、4月19日(金)には、彼らの最新CD『HONK』も発売された。 この『HONK』は、これまでの彼らのヒッ…

井上陽水の天才性を証明した『傘がない』

「天才」とは、自分の凄さみたいなものは確信しているけれど、「どう凄いのか」ということを自分で説明できない人のことをいう。 そういう意味で、井上陽水というミュージシャンは、天才ではないのか。 この土曜日、NHKの歌番組『SONGS「井上陽水」』の2回…

60年代R&Bバラードの頂点に立つ男スモーキー・ロビンソン

音楽の好みでいえば、1960年代から70年代初頭のリズム&ブルースがいちばん好きである。 仕事で頭が疲れてくると、まずグラスにペットボトルの紅茶を注ぎ、そこにウィスキーを数滴垂らす。 それをチビチビ舐めながら、パソコンの前に座り、YOU TUBEを頼りに、…

「ジェリー四方」の梅丘(世田谷)ライブ

東京の赤坂を中心に、西麻布、銀座のライブハウスで活動している「Rock-O-Motions(ロコモーションズ)」というバンドがある。 そのリーダーのJerry四方(四方寿太郎・しかたじゅたろう)氏(写真下)というのが、私の高校時代の同期生だ。 年齢的にいうと、…

1978年に女の歌が変わった

エッセイ 男から脱出した女たち 昭和歌謡を振り返ってみると、女性シンガーの歌が途中からガラっと変わる時期がある。 1970年代の後半あたりからだ。 女たちが、自分の正直な気持ちを歌い始めたといっていい。 たとえば、杏里の『オリビアを聴きながら』。 …

アフロヘア・ガール

めちゃめちゃに、ブラックミュージックに凝っていた時期があった。 20代のはじめの話だ。 大学は卒業したけれど、職がなくて、アルバイトをやっていた。 イタリアンレストランだったが、ハンバーグもカレーもあるっていう店。 1階と2階に分かれていて、2…

陳腐な言葉の新鮮なニュアンス

歌謡曲批評『よこはま・たそがれ』 五木ひろしの『よこはま・たそがれ』という曲をはじめて聞いたのは、もう50年くらい前の話になる。 私はまだ二十歳だった。 最初に聞いたのは、五木ひろしの歌ではなかった。 友人の一人が、マージャンの牌をつまみながら…

ローリング・ストーンズとビートルズの違い

The Rolling Stonesとは編集 20世紀を代表する英国の大御所ロックバンド。1963年のレコードデビュー以来、今なお現役で活動する。 ローリング・ストーンズ、ストーンズとも。 メンバー 幼馴染で、共にブルースを愛したミック・ジャガー(vo)とキース・リチャ…

OLDMAN

OLD MAN オールドマン 午後のスタンドカフェで、ぽつねんと、外の景色を見ている老人がいた。 喫煙席だった。 人がまばらに座った客席から、いく筋かの紫煙がのぼっていた。 老人はタバコを吸わないようだ。 喫煙席には、間違えて入ってきたのかもしれない。…

ウィンダム・ヒル サウンドの静けさの秘密   

音楽・絵画評論音の抽象画 ウィンダム・ヒル 1980年代というと、日本では「バブルの熱狂」に覆われた時代というイメージがある。 しかし、今でこそそういう印象が強いが、少なくとも80年代が始まったとき、それはむしろ奇妙に冷えた時代が訪れたように思えた…

パンクを神話に高めた男の短い生涯   

昔の映画の現代的鑑賞法 映画批評 シド・アンド・ナンシー パンクは嫌いだった 1970年代半ば、パンクロックが生まれて、ニューヨークとロンドンのロックシーンが大きく変わろうとしていた頃、私は「聞く音楽」をなくしていた。 大好きだった黒人ソウルミュー…

ハワイアン サウンドの快楽

音楽批評カントリー・コンフォート とジョン・クルーズ サーフィンもできない。 まず、第一に泳げない。 犬かきで2mも進めば、自分としては上出来なのだ。 それでも、無類に「南の海」が好きだ。 「時間があったら何がしたいか」と問われたら、使いこなせ…

I'd Rather Go Blind

むしろ盲目になりたいくらいの悲しさ 映画批評キャデラック・レコード 「恋」って、当人が経験するのが、もっとも感動的なものかもしれないけれど、文学や映画で疑似体験する「恋」にも、なかなか切ないものがあったりする。 特に、優れた「恋の終わり」を描…

サカナクションの歌詞に秘められた昭和文学

音楽批評山口一郎氏の曲から伝わる「心地良い違和感」 テレビで、日本のロックグループ「Sakanaction サカナクション」のライブ映像を見たことがある。 面白い世界観を表現したステージだと思った。 このバンドのリーダー山口一郎氏には、10年以上も前から注…

My Foolish Heart

選ばなかった方の選択肢 人間の不幸は、常に、過去の選ばなかった方の選択肢にこだわるところから生まれる。 「あのとき、ああすれば良かった … 」 という思いは、人間なら誰でも持つ。 選ばなかった方の選択肢は、いつまで経っても “輝かしい可能性” を保持…

日本の歌は「雪」と相性がいい

今週のお題「雪」 音楽批評 日本の歌は、「雪」と相性がいい。 演歌でも、J ポップでも、雪をテーマにした曲は名曲ぞろいである。 J ポップ、フォーク、ニューミュージック系でいえば、まず筆頭にあがってくるのは、イルカの『なごり雪』。 あるいは、レミオ…

マル・ウォルドロン『忘却のワルツ』

マル・ウォルドロンとは編集 Mal Waldron、ジャズ・ピアニスト、(1926-2002) 続きを読む このキーワードを含むブログを見る 音楽批評 WALTZ OF OBLIVIOUS「忘却のワルツ」 この曲は、ジャズピアニストのマル・ウォルドロンが、1966年3月1日、イタリアのミ…

弦楽器の罪つくりな美しさ

映画・音楽批評 人間の悩ましい情念の高まりを表現するのに、弦楽器ほどふさわしい楽器はない。 「狂おしい」 という言葉を、もし「音」で表すとしたら、ヴァイオリン、チェロといった弦を使った楽器以上のものはないのではないか。 弦をつかった音楽は、時…