アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

映画

映画 『トゥルーマン・ショー』

監視社会の中で生きるのは 幸福なのか悪夢なのか 1998年に制作されたピーター・ウィアー監督、ジム・キャリー主演のアメリカ映画。 『トゥルーマン・ショー』 2021年1月16日に、BSのWOWOWシネマで鑑賞。 封切り時に映画館で見たわけではないが、過去にテレ…

戦後日本を裏から描いたヤクザ映画

2020年の年末、BS放送のWOWOWで、深作欣二の『仁義なき戦い』シリーズ全5作をまとめて特集していた。 全部、録画して、久しぶりにじっくり見た。 やっぱり、いい映画だ! 面白い! … と思ったけれど、昔映画館で見ていたときと何かが違う。 ふと気づくと、…

『七人の侍』の主役は野武士たちだ

三船敏郎 生誕100年にちなみ、WOWOWシネマで、彼の代表作が続けて放映された。 そのなかで、黒澤明監督による『用心棒』(1961年)、『椿三十郎』(1962年)、『七人の侍』(1954年)の3本をピックアップして見たが、やはり『七人の侍』が群を抜いて素晴ら…

権力者が舞台を去るときの悲哀

映画『ニコライとアレクサンドラ』 とトランプ大統領 ロシアのロマノフ王朝の最後を描いた『ニコライとアレクサンドラ』(フランクリン・J・シャフナー監督)という映画がある。 ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世とその皇后アレクサンドラ、そしてその5人…

50年経って再び『イージー・ライダー』を見る

WOWOWシネマで、アメリカ映画『イージー・ライダー』を久しぶりに見た。 1969年の作品である(日本公開は1970年)。 この映画を最初に見たのは、私が二十歳のときだった。 それからちょうど50年経つ。 漠然とした記憶として残っているのは、アメリカの荒野の…

黒沢清 『回路』

恐怖の正体は “物の不在感” にあり 日本映画の監督で「クロサワ」といえば、世間的にはまだ黒澤明(くろさわ・あきら)の方が知られているが、この2020年、『スパイの妻』でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)をとった黒沢清(くろさわ・きよし)に…

映画『人間の条件』をめぐる論争

例年この時期は、テレビなどで(太平洋戦争の)終戦にまつわる特集が組まれる。 WOWOWなどでも、映画『日本のいちばん長い日』、『アルキメデスの大戦』、『連合艦隊司令長官 山本五十六』、ドキュメンタリー映画『東京裁判』などが、ほぼ連日にわたって放映…

サラリーマンたちが演じる“やくざ映画”『半沢直樹』

やっぱ『半沢直樹』は面白いわ。 7月27日(日)に放映された第二話の視聴率は22.1%だったという。 私は、この視聴率がどれほど高いものなのかはよく分からないが、NHKがしきりに番宣を繰り返す大河ドラマ『麒麟がくる』の平均視聴率が15~16%台だというい…

蘇れ!マカロニ・ウエスタン

作曲家のエンニオ・モリコーネが亡くなった(2020年7月6日)。 追悼ニュースでは、『アンタッチャブル』、『ニューシネマ・パラダイス』などといった映画音楽の作曲家として紹介されていた。 しかし、私のようなシニア世代からみると、エンニオ・モリコーネ…

退屈が怖かったマリー・アントワネット

フランス革命で命を散らした “悲劇の王妃” として、マリー・アントワネットの名前を知らない人は、まずいないと思う。 ▼ マリー・アントワネットの有名な肖像画 「民衆はパンが食べられなくて、みな困っています」 と侍従からの報告を受けたとき、 「それな…

戦国自衛隊1549

超傑作と超駄作は「珍しさ」において並び立つ? 『戦国自衛隊1549』 土曜日の午後(2020年6月27日)、『戦国自衛隊1549』がWOWOWシネマで放映されていた。 突っ込みどころ満載の映画だった。 『戦国自衛隊』は、1979年と2005年に二度映画化されており、79年…

『雲霧仁左衛門』と「陰翳礼讃」的な日本美学

NHK総合の「土曜時代ドラマ」枠で放映されている『雲霧仁左衛門』が楽しみになった。 ハードディスクに録画し、のんびりできる時間を見つけて、ゆっくり見ている。 もとは、BSプレミアムで、2013年から放送されていたものらしい。 いま流れているのは、その…

レールのある風景(RAILWAYS)

中井貴一が主役を務める映画『RAILWAYS(レイルウェイズ)』(2010年公開)を観た。 BSのWOWOWで。 途中からなんだけど。 49歳の男性がエリートサラリーマンの生活を捨て、故郷に戻って、小さい頃からの憧れであった「電車の運転手」としての再スタートを切…

誰か『ワンピース』の面白さを教えてよ

BSのWOWOWシネマで、『ONE PIECE(ワンピース)』の劇場版アニメを延々と放映していた。 コロナ禍のせいか、最近のWOWOWシネマは、ステイホーム中の “子供&若者” 向けの企画ばかりで、私のような年寄りにはまったく面白くないのだけれど、そういうときに、1…

「さらば愛しき女よ」

映画批評 映画「さらば愛しき女よ」のけだるく甘い切なさ 原題、『Farewell, My Lovely(フェアウェル・マイ・ラブリー)』。 レイモンド・チャンドラーが1940年に書いた同名小説をディック・リチャーズ監督が1975年に映画化した洒落た作品である。 ハードボ…

映画『嵐を呼ぶ男』の主題歌は隠れた名曲だ

両親は日本人なのに、突然変異的に西洋人のハーフのような顔つきで生まれてしまった子どもがいる。 音楽にも、そういうものがある。 出自は歌謡曲ながら、奇妙に “洋楽っぽい” 部分が突如顔を出すというような曲があるのだ。 昭和歌謡に多い。 こういう曲に…

秀逸なセリフ劇 『仁義なき戦い』

会社勤めを始めた頃、まだ友達もいなくて、しばらくは一人で酒を飲むぐらいしか時間をつぶす方法がなかった。 当時住んでいた町は、その名前だけは古くから知られた町だったが、実質的には発展途上の町で、妙に空漠としていた。 お寺の山門のような構えを持…

『第七の封印』という難解な映画の快楽

昔の映画の現代的鑑賞法1 歴史編ベルイマン『第七の封印』 イングマール・ベルイマンが1957年に撮った『第七の封印』は、公開当時から難解であるという批評が多かった。 当時、芸術好きの知識人たちが、さまざまな解釈や議論を展開したらしいが、私は、そう…

三島由紀夫 vs 東大全共闘

この20日金曜日に、『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』というドキュメンタリー映画が公開された。 まだ映画は見ていないが、この討論会の存在を19歳の頃に知っていた私にとって、その場で何が語られたのか、それはいまだに興味の尽きないテーマの一つ…

ターナー、光に愛を求めて

映画批評大英帝国の誕生を絵画で表現した男 2014年イギリス・ドイツ・フランス合作映画原題「Mr. Turner」 日本公開 2015年6月 知的興奮を誘う傑作 美しい映画である。 主人公は、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。 “人物事典” ふうにいうと、「18…

『2001年宇宙の旅』再び

年末、中学校時代の友人たちと飲む機会があった。 すでに70歳に近い老人たちが集う会だから、半世紀以上の付き合いとなる。 固定メンバーはだいたい4名だが、この日は3人だけの会となった。 中学時代に、小説、評論、漫画などを集めたガリ版刷りの同人雑誌…

『雨月物語』の黄金色に輝くモノクロ映像

この5月12日(2019年)に、女優の京マチ子さんが亡くなられた。 享年95歳。 若い人には、この女優の名を知らない人も多いのではなかろうか。 しかし、邦画がようやく海外の映画ファンに認められるようになった時代を代表する女優として、ぜひその名を覚えて…

正義の恐ろしさを描いた『20世紀少年』

WOWOWで、10年ほど前に公開された映画『20世紀少年』を観た。 テレビ放映されたものは、これまでも一度か二度、部分的に観たことがある。 でも、さほどの興味を感じなかったので、すぐチャンネルを変えてしまった。 しかし、今回その三部作を改めて鑑賞し、…

「東ベルリンから来た女」という映画の美しさ

映画批評『東ベルリンから来た女』 映画は途中から観るものではない、と分かっていても、テレビで放映されている映画の場合は、往々にして途中から観ざるを得ないものがある。 たまたま観た1シーンがものすごく印象的で、「いったいどんな話なんだろう ?」…

人類最後の日を人々は何をして過ごすのか?

映画批評『On the beach 渚にて』 原発事故による「放射能汚染」の話題が出るたびに、思い出す映画がある。 アメリカ映画の『渚にて』( On the beach )だ。 1959年にスタンリー・クレイマー監督が撮った(当時の)近未来SF映画で、まさに地球規模の “放射…

「七人の侍」のような映画は今後100年生まれない

映画批評 『七人の侍』 3月21日に、NHKのBSプレミアムで放映されていた黒澤明の『七人の侍』を、また観た。 「また」という言葉を使ったが、もう5~6回観ている。 それだけ観ていれば、ストーリー展開の細かい部分も覚えるし、登場人物たちのセリフもだい…

映画の話題で知り合った女性

エッセイ・追憶・映画ウッディ・アレン『マンハッタン』 ウッディ・アレンが監督を務め、かつ主演を張った『マンハッタン』が公開されたのは、1979年だった。 公開前から、このクィーンズボロー・ブリッジのベンチの写真が色々な媒体で紹介されていて、それ…

AI 搭載型ロボットと人間は恋ができるか?

映画批評「エクス・マキナ」 「ロボット」が出てくるSF映画とかアニメに興味があって、その手の話題作があると、よく観る。 映画によっては、「アンドロイド」とか「レプリカント」、あるいは「サイボーグ」などと言葉を与えられることもあるが、要は “人間…

ダッチワイフが “心” を持ってしまったら?

映画批評是枝裕和『空気人形』 2009年に公開された是枝裕和監督の『空気人形』。 10年前の作品だが、DVDを借りて、やっと観ることができた。 「空気人形」、すなわちラブドール。 なにしろ、自分には変態的なところがあって、この「ラブドール(高規格型ダッ…

パンクを神話に高めた男の短い生涯   

昔の映画の現代的鑑賞法 映画批評 シド・アンド・ナンシー パンクは嫌いだった 1970年代半ば、パンクロックが生まれて、ニューヨークとロンドンのロックシーンが大きく変わろうとしていた頃、私は「聞く音楽」をなくしていた。 大好きだった黒人ソウルミュー…