アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

巣ごもり期間は『銃・病原菌・鉄』を読め!

新型コロナウイルスの感染拡大のせいで、カミュの『ペスト』が書店で売れているという。 『異邦人』などの有名な著書に隠れて比較的地味な扱いを受けていた本だが、緊急事態宣言が発令され、自宅待機を余儀なくされた人たちが読書に関心を向けたという理由も…

秀逸なセリフ劇 『仁義なき戦い』

会社勤めを始めた頃、まだ友達もいなくて、しばらくは一人で酒を飲むぐらいしか時間をつぶす方法がなかった。 当時住んでいた町は、その名前だけは古くから知られた町だったが、実質的には発展途上の町で、妙に空漠としていた。 お寺の山門のような構えを持…

なんで時間はどんどん早く経つように感じるのか?

俺も今日で70歳になっちゃったわけよ。 二十歳の頃、自分が70になるなんて、考えたこともなかったな。 それにしても、あっという間よ。 60過ぎたら、早いぜぇ。 脚本家の内館牧子氏によると、人間が感じる時間のスピード感は、その人の年齢をそのまま “時速”…

『第七の封印』という難解な映画の快楽

昔の映画の現代的鑑賞法1 歴史編ベルイマン『第七の封印』 イングマール・ベルイマンが1957年に撮った『第七の封印』は、公開当時から難解であるという批評が多かった。 当時、芸術好きの知識人たちが、さまざまな解釈や議論を展開したらしいが、私は、そう…

宿命のライバル ゴッホとゴーギャン

絵画批評 ゴッホとゴーギャン「2人のひまわり」 BS放送で『ゴッホとゴーギャン 2人のひまわり』という美術番組を観た。 2時間にわたる長編ドキュメンタリーであったが、退屈することなく、面白く鑑賞できた。 後に「天才」といわれた2人の画家の共同生活…

石原裕次郎はどういう人たちのスターだったのか?

今回の話は、年齢的にいうと、70歳ぐらいのシニア層を対象としたテーマである。 つまり、“裕次郎スナック” というものに行ったときの印象記だ。 もちろん、そんな名前のスナックがあるわけはないのだけれど、そこのママさんが若い頃から熱狂的な石原裕次郎の…

パチンコマニアの心象風景

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう政府や自治体の緊急事態宣言が発令され、人が密集する店舗への休業要請が出されている。 にもかかわらず、一部のパチンコ店が休業要請に従わないため、多くのパチンコファンがそういう店を探し、ときには県をまたいで…

ドラクエという傑作ゲーム

コロナウイルスの感染拡大を防止するため、「外出自粛要請」が国民的に呼びかけられている。 もちろん、そういう要請への協力にやぶさかではないので、極力外出は控え、近所をウォーキングするぐらいにとどめていたが、専門家の意見では、そのウォーキングも…

ゲゲゲの水木しげるさん

もう30年ぐらい前の話になるのだろうか。 昔、まだ乗用車メーカーのPR誌を編集していた頃、漫画家の故・水木しげるさんに取材したことがあった。 当時、水木さんは、『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビアニメ化も評判となり、売れっ子漫画家としての道をひたすら走…

姉川の合戦(実況中継)

スポーツ・ライブ「エキサイティング大合戦 姉川篇」 【司会】 皆さんおはようございます。「エキサイティング大合戦」の時間がまいりました。 今日は「織田・徳川連合軍」対「浅井・朝倉連合軍」による姉川の合戦を実況中継したいと思います。 解説には、『…

『麒麟がくる』のキャスティングはあれでいいのか?

NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』は、最近の大河としては珍しく面白い作品だと思っている。 脚本が悪くない。 演出もいい。 キャストも、(ごく一部を除いては、)いい役者をそろえたと思っている。 だから話しのテンポが小気味よく、予想外の展開に度肝を抜か…

夫婦の会話の危機(コロナ離婚)

「コロナ離婚」という言葉をかなり耳にするようになった。 この前読んだ新聞(朝日新聞4月14日夕刊)によると、そういう現象が実際にそうとう問題になりつつあるという。 要は、コロナウイルスの感染拡大にともない、外出自粛の習慣が定着してくると、夫婦…

テレビニュースと現実はあまりにも違う

コロナウイルスの感染拡大を阻止するための「緊急事態宣言」が発令されたが、感染の広がりはいっこうに止まらない。 テレビを観ていると、医療の専門家たちが、このままの状態を放置すれば、日本人の80万人ぐらいが感染し、そのうち40万人ぐらいが死亡すると…

秀吉の成金趣味

ネットをさまよっていたら、 「豊臣秀吉という人は、とっても芸術的なセンスに恵まれた人だ」 というようなことを書いているブログを、発見した。 秀吉 … 芸術? あまり、ありえない言葉の組み合わせに思えて、少し注意深く読んでみた。 なかなか面白い記事…

「人生最後の読書」に選ぶ本

文芸批評光瀬龍 『百億の昼と千億の夜』 私たちが把握できる “宇宙” はどこまでか 我々が把握できる「空間」と「時間」は、はたしてどのくらいの規模までなのだろうか。 もし、目に見える範囲なら、我々は経験上、およその「空間」と、そこに至るまでの「時…

家庭の危機は台所から始まる

「洗い物をする旦那は奥さんに嫌われる」 …… てなことがあるわけはない、と思っていたら、お昼のテレビを観ていたら、ほんとうにそうらしい。 実は、私は食事が終わった後に、よく食器を洗ったりする。 こちらとしては、食事を作ってくれたカミさんに対し、…

妻から嫌われる本当の理由

今、「コロナ離婚」という言葉が巷でささやかれている。 新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅勤務を余儀なくされた旦那さんがずっと家にいるようになると、まず奥さんにストレスがかかる。それによって不和が生じ、最後は「離婚!」となるわけだ。 そ…

サスペンスドラマはなぜ断崖絶壁で終わるのか

サスペンスドラマというのは、謎解きのドラマである。 まず殺人事件があって( … 殺人事件のないサスペンスドラマというのは皆無に等しい)、その殺人を犯したのは誰か? という謎を解くドラマである。 しかし、事件が解決して謎が解けても、視聴者には永遠…

ボブ・ディランという「荒野」 

ディランの声は何を意味するのか ボブ・ディランというアーチストを語ることは、私にはとても難しい。 ビートルズのデビューとほぼ同じ頃に登場し、60年代、70年代を代表する数々の名曲をリリースし、現在も第一線で活躍するスーパーアーチストなのだが、な…

桜の樹の下には

コロナウイルスは、日本では “花見の季節” を直撃した。 いつもなら、桜の木を取り囲むようにブルーシートを敷いた団体が座り込み、昼夜を問わず宴たけなわの光景を展開するはずなのだが、さすがに今の時期、そういう光景は見られない。 そのためか、人気の…

パンデミック後の世界はどうなっているのか?

前回の記事で取り上げた『パンデミックが変える世界 ~歴史から何を学ぶか~』(NHK Eテレ)という番組は、それなりに反響があったようだ。 私のブログ以外にも、ネットでこの番組を採り上げたサイトがいくつもあり、それぞれ好意的に評価していた。 テレビ…

パンデミックが変える世界

パンデミック(世界的流行)となったコロナウイルスは、人類に何を教えているのか? 自分でもいやになっちゃうんだけど、コロナウイルスの報道から目が離せない。 その理由は、(大げさにいえば)今回のコロナショックが、いったい人類にとって何を意味する…

コロナウイルスによって人間の動物化が始まる

新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に与える影響が深刻化している。 日本でも、政府や自治体が呼びかける「週末の外出自粛」という通達によって、居酒屋やバー、クラブといった接客をともなうサービス業が壊滅的打撃を受けている。 多くの人が、「早く…

独りでいることへの耐性が必要な時代

無意味な論争 コロナウイルスの感染率が激増している状態を反映して、無益な対立が広まっている。 “世代間対立” といわれるもの。 「国家的緊急時だというのに、お花見や卒業旅行などに出かける若者が多いのはけしからん」 というシニア世代に対し、 「若者…