アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

2019-01-01から1年間の記事一覧

『2001年宇宙の旅』再び

年末、中学校時代の友人たちと飲む機会があった。 すでに70歳に近い老人たちが集う会だから、半世紀以上の付き合いとなる。 固定メンバーはだいたい4名だが、この日は3人だけの会となった。 中学時代に、小説、評論、漫画などを集めたガリ版刷りの同人雑誌…

アレクサンドロス大王の精神分析

今年(2019年)の11月、NHK BSプレミアムの『ザ・プロファイラー』という番組で、アレクサンドロス大王が取り上げられていた。 番組の進行はほとんど覚えていないが、“アレクサンドロス大王” の不思議な精神構造には興味をおぼえた。 アレクサンドロスという…

ウィーチャットが招く超管理社会

テレビ朝日のニュース番組「羽鳥慎一モーニングショー」で、「ウィーチャット(WeChat=微信)」という中国製SNSアプリのことを採り上げていた。 テレビで、しばらくその話題をフォローしてから、ネットで「ウィーチャット」を検索してみた。 すると、 「(…

グランエースはキャンパーになれるのか?

10月24日(木)から始まっている「東京モーターショー」で、キャンピングカーに興味を持っている人たちの関心を集めているのが、トヨタコーナーで発表された「グランエース」(開発 トヨタ車体)だ。 全長5,300mm。 全幅1,970mm。 現在バンコンの主流を占め…

『フランス絵画の精華』展

東京富士美術館(東京都・八王子市)で、『フランス絵画の精華』という展覧会が開かれている(2020年1月19日まで)。 フランス絵画のもっとも華やかな17世紀から19世紀の作品が集められており、 「ヴェルサイユ宮殿美術館、オルセー美術館、大英博物館、スコ…

ジェリー四方&エディー早川ライブ

10月13日(日)、東京・世田谷区の梅ヶ丘で、ジェリー四方とエディー早川のライブコンサートが開かれた。 ▼ Jerry四方氏(右)&Eddie早川氏(左) この二人は、もともと「Jerry Shikata & Rock-O-Motions(ジェリー四方&ロコモーションズ)」という4人編…

ラグビーがスポーツから文化になった

日本代表がベストエイトまで勝ち進み、南アフリカと決勝トーナメントを戦ったワールドカップラグビーだったが、惜しくも敗れ、日本列島を襲った約1ヶ月のラグビーフィーバーも幕を閉じた。 それでも、日本代表の偉業をたたえるマスコミ報道の熱は冷めない。…

村上春樹はもうノーベル賞を取れない

毎年この季節になると、村上春樹がノーベル文学賞を取るかどうかという話題がメディアに採り上げられるが、今年もそれは叶わなかった。 毎度のことなので、“ハルキスト” と呼ばれるファン層の落胆ぶりもそれほど話題にならなかった。 たぶん多くの日本人は分…

FICCオートキャンプ世界大会 89th

2019年9月28日(土)より、10月6日(日)まで、福島県天栄村の羽鳥湖高原にて、「FICCオートキャンプ世界大会」(日本オートキャンプ協会主催)が開かれた。 この大会に、TAS(トレイル・アドベンチャー・スピリット = BCヴァーノンを中心としたモーターホ…

自作短歌の悪評例

ひょんなことから、“短歌の会” というのに参加するようになって、そろそろ半年になる。 『無窮花植ゑむ』などの著書をお持ちの藤井徳子(ふじい・のりこ先生 = 日本歌人クラブ)のご指導を仰ぎ、月1回くらいのペースで拙作の講評をいただいている。 例会は…

日本人と韓国人の精神性の違い

タレントの武田鉄矢がMCを担当する『昭和は輝いていた』(BSテレ東)という番組をときどき観ている。 武田鉄矢氏と、私は同世代。 武田氏(70歳)の方が1年先輩だが、若いときに吸った空気が同じなので、彼が取り扱う話題の大半が理解できる。 いつだったか…

ラグビーで活躍する “古代戦士” たち

ラグビーワールドカップを面白く観ている。 最初はそれほど関心がなかった。 しかし、日本代表が初戦でロシアを破ってからがぜん興味が湧き、他のチームの試合もフォローするようになった。 ラグビーに熱い関心を持っていたのは、もう40年ぐらい前の話だ。 …

陸の帝国(中国)の復活

ドイツの哲学者カール・シュミットによると、 「世界史は、“陸の国家” と “海の国家” の戦いだった」 という。 もちろん “陸の国家” の歴史の方が古い。 古代の西アジアに栄えたアッシリア帝国やペルシャ帝国。 中世のサラセン帝国。 東アジアでは、中華帝国…

文在寅大統領のしたたかな野望

ここ1ヶ月ほど、日本のメディア(特にテレビ)は、ほとんど連日 “戦後最悪” といわれる日韓関係の報道に徹している。 現在その話題の中心は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近で、文(ムン)氏の後継者として次期大統領の候補と目されている曺国(チ…

民主主義の時代は終わったのか?

2017年に、トランプ氏がアメリカの大統領に就任して以来、世界が劇的に変わった。 その最大の特徴は、第二次大戦後にスタートした西側諸国による「自由と民主主義」を標榜する政治理念が地盤沈下したことだ。 経済的にみれば、それはグローバル経済の終焉で…

韓国人のプライドの根底にあるもの

8月22日以降の夜のニュースは、どのメディアにおいても、韓国によるGSOMIA(ジーソミア=日韓軍事情報包括保護協定)の破棄通告がトップニュースを飾っている。 日本の安全保障問題の解説者はみな一様に、この韓国政府の決定を “愚行” というニュアンスに近…

カントリーミュージックからアメリカを読む

10代の頃からずっと洋楽を聞き続けて、60年以上経つ。 1960年代初頭のコニー・フランシスやニール・セダカのようなアメリカンポップスに始まり、ビートルズ、ストーンズ、さらにはクリーム、レッドツェッペリンというUKロックに移行し、その後はアメリカのソ…

韓国は日本の何を嫌うのか

昨今のニュースを見ていると、韓国と日本の “経済戦争” の推移をレポートする報道が連日続いている。 特に、日本が、韓国に対する輸出管理上のカテゴリーを見直すこと(ホワイト国除外)が決定した後は、韓国が国を挙げて日本批判を過熱させている様子が伝わ…

「N国党」のうさん臭さ

「N国党」(NHKから国民を守る党)という政治団体がマスコミの注目を集めている。 2019年の参議院選挙において、代表の立花孝志氏が全国比例区で当選し、生まれてまだ2週間も経たない党だ。 しかし、この立花氏のメディアでの露出度は高い。 彼の登場を批判…

「死にたいのなら一人で死ね」という言葉の不寛容さ

神奈川県・川崎市の登戸駅近くの路上で、50代男性が起こした大量殺傷事件について、落語家の立川志らく氏が語った「死にたいなら一人で死んでくれよ」という発言がテレビのワイドショーやネットで賛否両論を巻き越しているという。 当然、そういう意見は過激…

『雨月物語』の黄金色に輝くモノクロ映像

この5月12日(2019年)に、女優の京マチ子さんが亡くなられた。 享年95歳。 若い人には、この女優の名を知らない人も多いのではなかろうか。 しかし、邦画がようやく海外の映画ファンに認められるようになった時代を代表する女優として、ぜひその名を覚えて…

正義の恐ろしさを描いた『20世紀少年』

WOWOWで、10年ほど前に公開された映画『20世紀少年』を観た。 テレビ放映されたものは、これまでも一度か二度、部分的に観たことがある。 でも、さほどの興味を感じなかったので、すぐチャンネルを変えてしまった。 しかし、今回その三部作を改めて鑑賞し、…

冷たいバラード

「櫛(くし)を拾うと、つき合っている人と別れることになると、昔の人はよく言ったわ」 そう言って、女は喫茶店のシートに置き忘れられた誰かの櫛を、そっと自分のバッグにしまい込んだ。 半月形の古風な木の櫛だった。 アメ色に染まって、べっ甲のようにも…

祝 たぬき様ご生誕69周年

本日、東京都内において、たぬき様(本名 町田)のご生誕69周年を祝う記念式典が、本人および奥様を含む総勢2名という多数のご家族ご列席のもとに、盛大に行われた。 ▼ 式典に用意された直径10メートルのバースデーケーキ。屋敷内に入らなかったため、クレ…

NHK『平成万葉集』にみる日本人の短歌ブーム

「平成」という時代もあと数日というときに、NHK制作の『平成万葉集』(BSプレミアム)という番組が放映された。 俳優の生田斗真と吉岡里帆が、素人の短歌を中心に拾い上げて朗読し、かつ実作者を訪ねてインタビューするという企画で、何回かに分けて放映さ…

眠りが忍び寄る

仕事中にパソコンを見ているときも、居間でテレビを観ているときも、突然こっくりと居眠りをする私である。 もちろん、すぐに目が醒める。 しかし、いつのまにか、再びうつらうつらしている。 年をとるということは、生活の中に、「眠り」が忍び寄ってくる回…

七歳までは神の内

一番最初にお化けを見たのは、3歳ぐらいのときだった。 いま住んでいる町に越してくる前。 古びた町の古い一軒屋の中で、両親と伯母と4人で暮らしていた頃だ。 一軒屋といっても、今の感覚でいえばスラム街のバラック。 柱はみな黒塗りながらハゲだらけ。…

穂村弘の文章は最高だ

文芸批評 理屈では語れない文章 「短歌ブーム」という話も聞く。 特に、これまで短歌と縁がなさそうな若い人が、最近関心を持ち始めているとも。 新元号の「令和」という言葉が万葉集から採られたというニュースがこれほど脚光を浴びたのも、その底辺には現…

頑張った若者の話

電車の中というのは、一種の “公共の場” であるわけだが、最近、どんどんプライベート空間化しているような気がする。 まず、通勤前に、車内で朝ご飯を食べている人たちが増えた。 「食べる」といっても、おにぎりとかサンドイッチのたぐいだが、スマホなど…

「東ベルリンから来た女」という映画の美しさ

映画批評『東ベルリンから来た女』 映画は途中から観るものではない、と分かっていても、テレビで放映されている映画の場合は、往々にして途中から観ざるを得ないものがある。 たまたま観た1シーンがものすごく印象的で、「いったいどんな話なんだろう ?」…