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民主主義の時代は終わったのか?

 2017年に、トランプ氏がアメリカの大統領に就任して以来、世界が劇的に変わった。

 

 その最大の特徴は、第二次大戦後にスタートした西側諸国による「自由と民主主義」を標榜する政治理念が地盤沈下したことだ。

 

 経済的にみれば、それはグローバル経済の終焉であり、閉ざされた保護貿易の復活という形をとった。


 世界はどこの国においても、「自国ファースト」の政策に急速に舵を切り、国際政治のテーマから国同士の「協調」や「助け合い」という理念が縮小していった。

 

 「自国ファースト」というのは、いってみれば、それを標榜する国家元首の「自分ファースト」を意味する。


 つまり、権力者のわがままがその国の政治を左右し、しいては国際社会のルールすら変えてしまおうという政治が生まれてきたのだ。

 

 アメリカのトランプ大統領
 中国の習近平主席。
 北朝鮮金正恩委員長。
 ロシアのプーチン大統領
 イギリスのボリス・ジョンソン首相。
 そして、いま話題の韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領。

 

 これらの21世紀に出現した政治リーダーは、基本的にみな「自分ファースト」の政治家である。

 

 これに、ブラジルの新しい大統領ジャイール・ボルソナーロ。
 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を加えてもいいかもしれない。

 

 これらの新興国国家元首に共通していえることは、みなアメリカのトランプの政治を参考にしているか、もしくはトランプに共感していることだ。

 

 すなわち国益よりも、自分の人気の方を優先し、その人気を維持するためには、国民にフェイクニュースを流すことなども日常茶飯事。国民の気持ちが離反しそうになると、国外に仮想敵国をつくり、小気味よい口調でその国を批判する。

 

 こういう政治家が現れると、昔の国民は “独裁者” として警戒したりしたが、現在はその “独裁者” を支持することが国民のひとつの “遊び” になってきている。

 

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 では、世界で何が起こっているのか。

 

 「民主主義」というものが死滅しかかっているのだ。

 

 民主主義が定着するには、その国において、ある程度の経済成長が維持されており、かつ国民の教育レベルが高く、経済格差が少ない社会であることが条件となる。
 
 そういった意味で、20世紀の民主主義をもっとも体現した国家は、戦後の高度成長期を体験した日本だけだったかもしれない。

 

 しかし、21世紀になると、どの国家においても、経済格差や教育格差が拡大し、民主主義が機能する土壌が崩れ始めた。

 

 地球規模で、「21世紀型不平等社会」が出現したのである。

 

 こういう社会においては、国民はみな困っている人に手を差し伸べようという余裕を失い、誰もが自分より裕福な人々にジェラシーを抱くようになる。
 つまり、お互いに相手の意見を尊重し合うという「民主主義」的精神が希薄になっていくのだ。

 

 実際に、ロシアのプーチン大統領は、自由主義諸国が育ててきた「民主主義」に対し、「もうそれは時代遅れの思想だ」と断言するまでになった。

 

 イギリスの新首相になったボリス・ジョンソンも、さっそく民主主義的手法を排除し、自分の独断で議会を閉会してしまった。

 

 韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は、閣僚から裁判官まで自分に忠誠を誓う左派系の人材で固め、反対する声を徹底的に弾圧している。

 

 アメリカのトランプ大統領も、基本的に民主主義という思想にほどんど共感を示さない。

 

 こういう「自分ファースト」を行動原理にしている国家元首たちは、国を統合するという意志を最初から持たない。


 むしろ、「分断」と「対立」を煽る。

 

 国を統合するということは、きわめて理性的な地道な努力を要求する。
 国民の知性を訴えかけなければならないからだ。

 

 そういう努力の積み重ねが「民主主義」の基盤になるのだが、21世紀の国家元首たちは、この理性的な国民統合を放棄し、「分断」と「対立」を煽る道を選んだ。

 

 政治家の演説においては、威勢よく「分断」と「対立」を叫ぶ方が「相互理解」や「友愛」を求めるよりも人気を得やすい。
 人間は、感情的な動物だからだ。
 
 そのことを知っている新時代のリーダーたちは、最初から100%の国民の支持など期待しない。
 40%程度の支持があれば、十分に国家運営ができると思っている。

 

 つまり、知性的な国民の60%の支持を期待するより、感情的に熱狂しやすい40%の岩盤支持層さえあれば、自分の地位は安泰であるということを新しいリーダーたちは分かってきたのだ。


 こういう政治リーダーたちの精神的背景になっているものは何か?

 

 「権力欲」

 

 身も蓋もない言い方をしてしまえば、その言葉に尽きる。

 
 しかし、権力欲というのは後天的に目覚めるもので、それ自体は人間の本能ではない。

 

 最初から権力欲を満たしたくて、誰もが政治家になるわけではない。
 ほとんどの政治家の場合、その最初の動機は、国民や共同体に奉仕するというピュアな使命感であったはずだ。

 

 つまり、権力欲というのは、権力を手にできるようになった人間が、組織や他人を自在に動かせるようになってはじめて芽生えてくる “欲望” である。

 

 それはすさまじいほどの “快感” を権力者に授ける。
 独裁者というのは、そういう権力に対する “欲望” を自分だけが独占したいと思う人間のことだ。

 

 現在、この欲望にいちばんどっぷり浸かってしまったのが、韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領である。

 
 彼は、清廉潔白な “人権弁護士” という看板を掲げて政界に進出したが、大統領に就任してから、権力を行使することの快感を知ってしまった。

 

 (繰り返しになるが、)彼は前政権の息のかかった閣僚をことごとくパージし、最高裁の判事たちまで、自分と同じ思想の人間を抜擢し、韓国の左派系大統領としては、かつてないほど強力な執行体制を築いた。

 

 そうやって、権力の頂点に登りつめた人間は、今度はその座を奪われることに対する恐怖や不安と戦うことになる。
 彼の最近の常軌を逸した日本バッシングの言動などをみていると、すでに病(やまい)の兆候すら感じ取れる。

 

 さらに、GSOMIA(ジーソミア)破棄に関しては、アメリカまで騙そうとして、トランプ大統領に「信用できない人物だ」とまで批判された。

 

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 文在寅ムン・ジェイン)氏の悲願である朝鮮半島の南北統一は、北朝鮮金正恩委員長がいるかぎり実現することはない。

 

 文在寅ムン・ジェイン)氏が、いくら北朝鮮へラブコールを送っても、金正恩委員長から冷たい返事しかもらえないのは、金正恩にその気がないからだ。

 

 考えてみれば簡単なことである。


 アメリカ文化になじみ、豊かな食生活や娯楽文化に慣れ親しんだ韓国の人々が、今の貧しい北朝鮮の人民と交流するようになれば、金委員長には、もう貧しい生活に耐えてきた北朝鮮の人民をコントロールすることが不能になる。

 それは、彼が維持してきた体制の崩壊につながる。

 

 だから、金正恩委員長の頭には、あくまでも北朝鮮主導型の南北統一しか存在しない。


 そして、現状ではそれすらも困難であることを金委員長は分かっているから、彼は即急な半島統一を望んでいない。

 

 それを韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は理解できているのかどうか。

 

 それとも文氏は、北朝鮮に対する韓国の圧倒的な “経済力” と “文化的優位性” で、金正恩体制を圧倒するつもりでいるのだろうか。

 

 いずれにせよ、文在寅氏は、日本人の心を読めない以上に、同族である北朝鮮の人々の気持ちも読めていない。

 

 幸いなことに、硬直化した文氏の思考に懐疑的な韓国の若者が増えてきているという。
 それは日本にとって朗報である以上に、韓国民にとって素晴らしいことだと思う。