10月13日(日)、東京・世田谷区の梅ヶ丘で、ジェリー四方とエディー早川のライブコンサートが開かれた。
▼ Jerry四方氏(右)&Eddie早川氏(左)
この二人は、もともと「Jerry Shikata & Rock-O-Motions(ジェリー四方&ロコモーションズ)」という4人編成バンドとして、赤坂を中心に西麻布、銀座のライブハウスで活動していたが、ここ最近は、機動力を生かしたツーピースユニットとして、世田谷の梅ヶ丘のバー「珍品堂」を拠点にライブ活動を展開している。
レパートリーは、アメリカンポップス、リバプールサウンズを中心に、日本のグループサウンズまで。
音としては、1960年代から70年代あたりの懐かしいサウンドが得意だ。
具体的なアーチストとしては、ビートルズ、CCR、エリック・クラプトン、クリフ・リチャード、プロコルハルム、エリック・カルメン、エブリーブラザース、スティービー・ワンダー、テンプテーションズ …… などなど。
それを、四方氏のギターとヴォーカル、そして、早川氏のキーボードというシンプルな構成で見事に演じきる。
4人バンドのライブでは、アップテンポのダンスビートの曲が多くなるが、2人だけのユニットの場合は、スローからミディアムテンポのバラードが中心。
“音数” は少なくとも、長年数々のライブをこなしてきた2人だけに、どのような曲も、オリジナル音源の情緒を見事に生かし切ったアレンジで、“大人の音楽” を提供してくれる。
この日のライブ会場は、世田谷区・梅ヶ丘のBAR「TRILL」(バー・トリル)。
“大人のライブ” を楽しむには格好の落ち着いたバーだ。
ところがこの日、2ステージ目が始まる頃、休憩時間にトイレに立った四方氏が見知らぬ外国人観光客を3人連れてきた。
店内の場外トイレで知り合った外国人に、
「今ライブをやっているから、見物に来ないか?」
と声をかけたのだという。
で、どやどやと入ってきたのが、下の3人。
日本をよく知っているインド人男性(右)と、その友達の、日本にはじめてきたドバイ人(真ん中)。
そして左端の女性は、どうやらインド男性の “彼女” のようだ。
この人たち、はたしてジェリー四方氏たちが得意とする60年代アメリカンポップスなどを知っているのだろうか?
…… などということを心配する必要もなく、彼らは昔のアメリカンポップスにもビートルズにも精通していた。
で、ドバイから来た男性は、四方氏の誘いに応じ、ついにマイクの前で、サイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』を歌い出した。
次の女性が歌ったのは、ジョン・レノンの『イマジン』。
どうしてそんな古い歌を知っているのか?
彼らに聞くと、自分たちの両親が歌っていた歌だという。
ちなみに、彼らの両親の年齢を聞いてみると、なんと現在70歳代。
奇しくも、当日はジェリー四方氏の70回目の誕生日だった。
インドやドバイから来た青年たちは、自分たちの両親と同世代の四方氏の演奏で、オールディズの名曲を歌ったことになる。
外国からの参加者が飛び入りしてきたせいで、ライブ会場の「バー・トリル」も一気に国際的雰囲気に。
商社に勤務してアメリカ生活の長い四方氏の会話は、最後の方はほとんど英語に変わってしまい、われわれ日本人参加者は、ただ「イェーイ! イェーイ! ワァーイ! ワァーイ!」と連呼するだけ。
外国人グループも、それに合わせて日本人たちとハイタッチ。
なんとも不思議な盛り上がりを見せた梅ヶ丘の夜であった。