アートと文藝のCafe

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「ジェリー四方」の梅丘(世田谷)ライブ

 東京の赤坂を中心に、西麻布、銀座のライブハウスで活動している「Rock-O-Motions(ロコモーションズ)」というバンドがある。

 

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 そのリーダーのJerry四方(四方寿太郎・しかたじゅたろう)氏(写真下)というのが、私の高校時代の同期生だ。
 年齢的にいうと、60代後半。
 シニアバンドというか、 要は、“爺さんバンド” だね。

 

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 で、この土曜日、いつもは4~5人編成の「Rock-O-Motions」のうちの2人、Jerry四方(ヴォーカル・ギター)と、Eddy早川(キーボード)の両氏だけによる小ライブが開かれた。

 

 会場は、世田谷区梅丘(1-15-13)にある「Bar珍品堂」(オーナー中村早苗氏)。

 

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 骨董品屋の店舗に椅子・テーブルを備え、バー(&喫茶店)の機能も加えたという面白いお店で、20人ほどの来場者があると、そのうちの数人は立ち見になってしまうという可愛らしいお店なのだが、それだけに、会場に居合わせた参加者は知らない者同士でもすぐに打ち解けるというアットホームな雰囲気に包まれることになった。

 

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 この日のライブの企画タイトルは、
 「Jerry 四方&Eddy 早川による、Adult Songs Satarday Live」

 

 う~ん … 、やたら英語が並ぶタイトルで、こういうところに、私たちの世代、つまり、「若いときに洋楽にかぶれたジジイたち」の粋がりが表れている(笑)。 

 

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 で、ライブのしょっぱなが、デル・シャノンの「悲しき街角」(1961年)。
 続いて、テンプテーションズの「マイガール」(1965年)。
 その次が、スティービー・ワンダーの「太陽が当たる場所」(1966年)。 

 

 私とかジェリー四方氏は、こういう曲を、中学生か高校生のときに聴いて育ってきたわけ。

 

  
 四方寿太郎氏のステージを見たのは、もう50年くらい前になる。
 高校の学園祭のステージで、彼は「キックス」というバンドのヴォーカリストとして前面に立ち、学ランの第二ボタンあたりまで外し、スタンドマイクを揺すって黒人顔負けのR&Bを演奏していた。

 

 アーチー・ベル&ドレルスの「タイトンアップ」や、エディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」、サム&デイブの「ホールド・オン」。
 どれも、当時の赤坂や六本木の最先端ディスコで流れるようなバリバリのR&Bばかりだった。

 

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 ショックだった。 
 「俺たちの高校に、こんなカッコいいバンドがあったのか!」
 という驚きが込み上げた。

 

 後で聞くところによると、当時、彼らは高校の授業に出席するのもほどほどに、夜は都心のディスコや米軍キャンプに出演し、本場の外人から熱狂的な支持を集めていたのだとか。

 

 高校時代の四方氏は、
 まず、イケメン。
 歌はうまい。
 楽器も上手。
 しかも、身のこなしが颯爽としている。
 なんとなく、家柄が良さそうだ。
 それでいて、不良っぽい雰囲気がある。

 

 ま、“スクールカースト” などという言葉を使えば、そのカーストの最上位にいた男だったのである。

 

 当時、学ランをちょっと改造して、上着もズボンも細身に絞ったものを着こなすのがスクールカースト上位にいる連中の “作法” だったが、同じように学ランに細工を施しても、私のような人間と四方君たちの着こなしは、何かが違うのだ。

 

 ま、それは、学ランの形にあるのではなく、着る人間の “センス” のようなものだったかもしれない。
 彼は帰国子女で、英語もペラペラ。
 海外体験によって得た “舶来もの” の空気を身にまとっていたからね。

 

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 今は、こんな感じ(↑ 落ち着いたオヤジ)だけど。

 

 で、四方氏。

 若い頃は、校内ですれ違っただけで、こちらが身を斬られるような “風” を巻き起こす男だったけれど、今はだいぶ角が取れて、ギャグとジョークばかり連発する “悪乗りオジサン” になってしまっている。

 

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 この土曜日のライブも、次のような挨拶でスタートだ。

 

 「今日は、お花見にいちばん適した土曜日だといわれていますよね。
 それなのに、お花見に行かず、わざわざこちらのライブに来てくださって本当にありがとうございます。
 まぁ、お花見のメンバーからは声のかからなかった人たちだということなんでしょうね (笑)」

 

 こういう人を食ったようなトークがジェリー四方氏の持ち味だ。
 曲と曲の合間には、こんなことも言っていた。

 

 「いやぁ、僕の良きライバルだった内田裕也ショーケン最近がバタバタと亡くなってしまって、ショックです。
 僕は本当に彼らのことをよく知っていましたから。
 向こうは知らなかったと思いますが   」

 

 「僕は、八王子に住んでいるんですけど、八王子のビッグミュージシャンって3人いるんですよ。 
 知ってました?
 ユーミンと、つのだひろと、ジェリー四方です。
 最初の2人は全国区ですけど、ジェリー四方は八王子ローカルで、しかも近所の人しか知りません」

 

 最後の “オチ” がないと、ただの大ボラ吹きである。

 
 今回のトークではないが、以前お医者さんたちで構成されたオヤジバンドとのジョイントコンサートになったときがある。
 
 四方氏のトークは次のようなもの。

 

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 「次の僕らの曲は、もう “失神もの” の曲ですから、女性の方は遠慮なくどんどん倒れてくださいね。
 心配ないです。今日は楽屋にお医者さんだけの『対バン』が来ていらっしゃいますから。
 しかも無料検診です。
 女性の方は今からもう胸をはだけられるような格好で聞いてください(笑)」

 

 こういうトークの方が、かえって女性客から支持されるのね。
 このへんの女心のくすぐり方は、高校時代と変わっていないようだ。

 

 今回のライブでは時事ネタも披露。

 

 「この前、アメリカのトランプ大統領と、北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)第一書記が会談しましたよね。
 あれで、一番怒ったのは、日本の落語家たちだったんですってね。特に、桂米朝の弟子たち。
 『あいつら、なんの断りもなしに、うちの師匠の名前を勝手に使いやがって !』と米朝の弟子たちが怒ること怒ること。
 そのせいで、トランプも金正恩も新宿の『末広亭』は出入り禁止になったらしいですな」

 

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 これは、当日、会場に来るまでの電車のなかで考えたネタだったらしい。
 ついでに、こんなのも。

 

 「アメリカ人は、北朝鮮の人の名前が発音できないらしんですね。
 で、私が当日の会談に出席にした通訳に聞いたところでは、トランプ大統領は、金正恩キム・ジョンウン)の名前が呼べなかったらしい。
 『金(キム)』まではなんとか発音できたけれど、そのあとが分からなくなって、『キム・ジョンウエイン』と連呼していたそうです(笑)」

 

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 こういうヤバイネタも、さらりと披露するジェリー四方氏。
 ま、文字にすると、オヤジ特有の駄洒落なんだけど、彼のトークには独特の “間” があって、聞いているだけで心地よい。
 
 とにかく、歌って、しゃべって、酒を飲んでの楽しい4時間でありました。