アートと文藝のCafe

アート、文芸、映画、音楽などを気楽に語れるCafe です。ぜひお立ち寄りを。

2020-01-01から1年間の記事一覧

マルクスの『資本論』が再びブーム?

若者たちの『資本論』研究の背景にあるもの 今年になってから、若い学者たちの間で、マルクスの『資本論』を再評価する活動が盛んになっている。 今年の4月には、白井聡氏(43歳 京都精華大学教員)の『武器としての「資本論」』が出版され、かなりの話題を…

「銃」という武器の悪魔的な力 

アメリカ大統領選が近づいてきて、トランプ支持者のなかに、銃で武装して、反トランプ支持者たちを威嚇する(プラウドボーイズなどの)民兵組織が増えてきたことが話題になっている。 ▼ 「ミリシア」といわれる民間の武装グループ こういう光景は、日本では…

「民主主義」とは脆弱なものである

世界各国で、「民主主義」が侵害されることの危機が叫ばれている。 香港の若者たちのデモ(上)から始まり、タイにおける反政府デモ。 そして、ベラルーシの反大統領デモ。 さらに、ナイジェリアにおいても、独裁的な軍政権に反対する抗議デモが勃発した。 …

アメリカ人は “お茶目な” トランプが大好き

いよいよあと2週間を切ったアメリカの大統領選挙戦。 ヨソの国の国家元首を決める選挙なのに、なぜかとても気になる。 それは、(あくまでも個人的な嗜好だが)、面白いからだ。 自分には、いろいろな意味で、この選挙が現在の世界情勢を占う試金石となりそ…

マッチョマンたちが世界を動かす時代

今の世界のリーダーは、例外なく、“マッチョマン” である。 いちばんそれを体現しているのが、猟銃を持った半裸の写真を国民に見せたがるロシアのプーチン大統領(68歳)だ。 上は、毎年制作されるロシアの “プーチン・カレンダー” の1ページだが、一国の元…

筒美京平の “マジック昭和歌謡”

「歌謡曲」って、食べ物でいうと、カツ丼とか、カレーうどんのようなものかもしれない。 「演歌」(和食)ではない。 でも、「洋楽」(フレンチやイタリアン)でもない。 そのどちらでもない不自然さを持ちながら、誰一人、その不自然さに気づかないような存…

アメリカ大統領選挙の本当の意味

アメリカの大統領選挙戦も、残るところ3週間を切った。 コロナウイルスを患った共和党のトランプ氏に対し、アメリカでも「病気に対する危機管理が甘い」という批判が巻き起こったが、トランプ氏はまったく気にする様子がない。 果たして、彼の大統領再選は…

50年経って再び『イージー・ライダー』を見る

WOWOWシネマで、アメリカ映画『イージー・ライダー』を久しぶりに見た。 1969年の作品である(日本公開は1970年)。 この映画を最初に見たのは、私が二十歳のときだった。 それからちょうど50年経つ。 漠然とした記憶として残っているのは、アメリカの荒野の…

水平線を越える夕陽

このブログに、ときどき示唆的なコメントを寄せてくださる Tokyo Cabin さんから、 「海というのは、“日本の原点” ともいうべき存在ではないのか?」 という、日本人の精神が海と深い関係を持っていることを示唆するコメントをいただいた。 Cabin 氏は、その…

黒沢清 『回路』

恐怖の正体は “物の不在感” にあり 日本映画の監督で「クロサワ」といえば、世間的にはまだ黒澤明(くろさわ・あきら)の方が知られているが、この2020年、『スパイの妻』でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)をとった黒沢清(くろさわ・きよし)に…

掌編小説 『幽霊狩り』

コロナ禍で夏休みも短縮され、長女が宿題として出された「幽霊の標本作り」が間に合わないというので、仕方なく夏休みの最後の土日は、長女を伴って幽霊狩りに出かけた。 私はあまり幽霊に関心がなかったから、長女の話を聞いてびっくり。 いま、子供たちの…

「半沢直樹の時代」が意味するもの

TBSのドラマ『半沢直樹』は、今や社会現象化している。 その平均視聴率は25%。 この日曜日に放映された第8話は25.6%を記録した。 特に、ドラマ展開のカギを握る大和田常務(香川照之 54歳)のアドリブ。 「お・し・ま・い・DEATH!」 「死んでもやだね」 …

ホラー小説「眼鏡の少女」 

夏も終わろうとするのに、地獄のような猛暑が続いています。 それを乗り切るには、全身にサァーッと鳥肌が立つような「怪談」が効果的です。 残暑厳しいこの季節。このブログでもときどき「怪談スペシャル」をお送りしたいと思います。 第一回 眼鏡の少女 「…

日本人は「夏歌」を作るのがうまい

夏をテーマにしたJ ポップには名曲が多い。 その理由は、前回のブログ(竹内まりやの『夏の恋人』)でも書いたが、夏という季節が、その真っ盛りにおいても、「終わりの気配」を秘めた季節だからである。 つまり、夏を歌うことは、「哀切感」と向き合うこと…

竹内まりや 『夏の恋人』

四季の中で、いちばん寂しい季節は、秋でも、冬でもなく、夏だ。 草原も樹木も、燃え立つような生命感をみなぎらせる夏。 空と海が、限りなく膨張していくような解放感を漂わせる夏。 しかし、だからこそ、ちょっとした陽の陰った軒先や、光り輝く樹木の葉の…

コロナ禍で解く『風の谷のナウシカ』

「新型コロナウイルス」という人類がはじめて遭遇した未知の “病原体” との戦いが長引くにつれ、 「コロナとの戦いは、人間に何を教えようとしているのか?」 ということを考える機運が、あちらこちらで生まれている。 たとえば、人類がこれまでに残した過去…

中華思想によるグローバルスタンダード

世界の「民主主義」って、これからどうなっていくのだろう? 最近、そんなことをずっと考えている。 たとえば、香港の「自由と民主主義」を守ろうとする運動などが報道されるたびに、あからさまに、それを弾圧しようとする中国政府の方針に私などは疑問と憤…

コロナ禍で「美女」の基準が変わる

新型コロナの感染拡大がいっこうに収束する気配を見せない。 流行の兆しを見せ始めた春先には、「夏になれば勢いが弱まるだろう」という楽観論が趨勢を占めていたが、夏本番を迎えた今、「第二波」が到来したことを疑う人はいない。 医療専門家のなかには、…

映画『人間の条件』をめぐる論争

例年この時期は、テレビなどで(太平洋戦争の)終戦にまつわる特集が組まれる。 WOWOWなどでも、映画『日本のいちばん長い日』、『アルキメデスの大戦』、『連合艦隊司令長官 山本五十六』、ドキュメンタリー映画『東京裁判』などが、ほぼ連日にわたって放映…

人の嗜好は生まれる3ヶ月前に決まる

PCが相変わらず不調で、なかなかブログを更新する条件が整わなかった。 具体的な症例としては、まず起動するのに、そうとうな時間がかかるようになった。 下手すると、初期画面が現れるまでに、20分以上かかることもあった。 次に、アプリの作動が安定しない…

サラリーマンたちが演じる“やくざ映画”『半沢直樹』

やっぱ『半沢直樹』は面白いわ。 7月27日(日)に放映された第二話の視聴率は22.1%だったという。 私は、この視聴率がどれほど高いものなのかはよく分からないが、NHKがしきりに番宣を繰り返す大河ドラマ『麒麟がくる』の平均視聴率が15~16%台だというい…

7月のテレビ番組雑感

パソコンの調子が悪い。 … ということを、ブログの更新が途絶えた “言い訳” にするつもりもないのだが、テキストを入力したり、画像検索をしている途中で、モニターが突然ブラックアウトしてしまう。 原因は分からず。 ただ、強制終了するか、電源を一時的に…

アリシア・キーズのエジプトメイク

Alicia Keysの『The Life』という曲が気に入っている。 どこかカーティス・メイフィールドの『Give Me Your Love』に似たリズムを持っていて、心地よい。 ▼ Alicia Keys 『The life』 youtu.be で、俺、こういう目つきの女に弱いのよ。 仕事に疲れてくると ……

蘇れ!マカロニ・ウエスタン

作曲家のエンニオ・モリコーネが亡くなった(2020年7月6日)。 追悼ニュースでは、『アンタッチャブル』、『ニューシネマ・パラダイス』などといった映画音楽の作曲家として紹介されていた。 しかし、私のようなシニア世代からみると、エンニオ・モリコーネ…

黒光りの季節

梅雨。 カラッと晴れることもなく、湿度だけ高いいやな季節だ。 この時期は、あの、黒光りした背中をテカテカと光らせた、あいつの季節でもあるなぁ。 年をとってきたせいで、夜中にもトイレに立つ機会が増えてきたけれど、ある日、電気を付けると、階段の一…

退屈が怖かったマリー・アントワネット

フランス革命で命を散らした “悲劇の王妃” として、マリー・アントワネットの名前を知らない人は、まずいないと思う。 ▼ マリー・アントワネットの有名な肖像画 「民衆はパンが食べられなくて、みな困っています」 と侍従からの報告を受けたとき、 「それな…

掌編小説「In A Silent Way(長瀞に行く)」

youtu.be 夢のなかで、私は、長瀞(ながとろ)という土地に行くつもりでいる。 そのため、私は中央線に乗って西に向かっている。 ただ、夢のなかの “長瀞” は、埼玉県・秩父にあるあの観光地として有名な「長瀞」ではなく、私のまったく知らない土地になって…

岸辺のアルバム

1974年、台風16号により多摩川の堤防が決壊し、周辺住宅の19棟が水没したという事故(多摩川水害)が起こった。 その事故を題材に企画されたテレビドラマが、『岸辺のアルバム』だった。 2020年6月30日の「アナザーストーリーズ」(NHK BSプレミアム)で、こ…

ミニーマウスのエロティシズム

世界でいちばん色っぽいネズミは、ミニーマウスだろうな。 物心がついた頃、俺がいちばん欲情したのは、ミニーマウスの後ろ姿だった。 いやぁ、物騒な書き出しになってしまったなぁ(汗) ▼ 僕のミニー! ディズニーは版権がうるさそうだから、自分で描いた …

戦国自衛隊1549

超傑作と超駄作は「珍しさ」において並び立つ? 『戦国自衛隊1549』 土曜日の午後(2020年6月27日)、『戦国自衛隊1549』がWOWOWシネマで放映されていた。 突っ込みどころ満載の映画だった。 『戦国自衛隊』は、1979年と2005年に二度映画化されており、79年…