ヨタ話
【織田信長 ↑ 】 最初の相談者は誰じゃ?
【羽柴秀吉 ↓ 】 書状にての相談でありまする。名は宮下直樹とか。
【信長】 何用だと申しておる?
【秀吉】 はっ。「先日、上司に呼び出されたところ、当方の管理する部署の生産性が急降下し、採算部門と見なすことができぬとの理由により、その責任を取って、辞職するように勧告されました。
しかし、それを指示した上司というのは、実は自分の不倫現場を私に目撃され、その口封じのために、私のことを排除しようとしていることはみえみえであります。
このような事態にどう対処すればいいのか、ご指導をお願いします」
… とのことであります。
【信長】 くだらんのぉ。どういう素性の者じゃ?
【秀吉】 42歳サラリーマンとか。
【信長】 サラリーマンとは何のことか?
【秀吉】 はて … 。バテレンの官位のようなものではありますまいか … 。
【信長】 従五位下か、従四位下ぐらいかの。
【秀吉】 いずれにせよ、大した者ではありますまい。
【信長】 して、その者は国を出て浪人の身になる覚悟があると申しておるのか。
【秀吉】 そこまではなんとも … 。ただ、このように書状にて密かに相談してくるところから察するに、できれば隠密裏に私憤を晴らしたき所存であると見受けられまする。
【信長】 よし、次のように申し伝えよ。サル、筆を取れ。
【秀吉】 へい!
【信長】 「その方、私憤晴らしたき所存であるならば、まずは己(おのれ)の役目をばまっとうし、しかるべき成果を上げて後、上位討ちを果たすべし。
与えられし役目をうち捨てて、私怨ばかり追うは言語道断なり。
事成就した後にも事態変らぬようであるならば、そのときはその者の首を取り、この信長に持参せよ。しからば仕官への道を開いてやるものなり」
【秀吉】 御意(ぎょい)。
【信長】 次なる相談は何じゃ?
【秀吉】 おなごのようでありますな。これも書状を寄越しただけでございます。
【信長】 読んでみよ。
【秀吉】 ははぁ。
「パパから最近夜の誘いがないの。たぶん新しく入店したサナエのことが気がかりなんだわ。
オープン10周年パーティの日だって、サナエにはシャネルのバッグなのに、私にはアディダスのジョギングシューズよ。
バカにしてない?
ねぇ教えて。サナエをとっちめて、パパをギャフンと言わせる面白いこと、なんかない?」
【信長】 サル、訳せ。
【秀吉】 わたくしめが … でござりますか?
【信長】 そちは、さんざん「ねね」を苦しめておるゆえ、かような女のタワゴトなど、簡単に分かりおるじゃろう。
【秀吉】 ははぁ。「父より夜間の連絡途絶え、失意の念いやますばかり。推測するに父サナエに執心の様子。
創業10年祝日にてもサナエ “蛇寝る” の皮袋与えられるも、我は “亜出陀” の運動靴得るのみにて、つのる寂しさいかんともしがたし。
よって、サナエに神罰下ること欲するものなり。さらに父を痛罵する方法あらざるや」
【信長】 であるか。
【秀吉】 して、いかなる返答を与えましょうや。
【信長】 このように申し伝えるがよかろう。筆を取れ。
【秀吉】 へい!
【信長】 「汝の煩悩、すべて我欲より発すること明瞭なり。よってすべての煩悩を断ち切ることこそ肝要にて、仏門に入るべし」
【秀吉】 あっさりとしたもんですな。
【信長】 浅井・朝倉がまたうごめき出しておる。かのようなタワケ女に関わりおうているヒマなどないわ。
【秀吉】 御意。