鉄砲伝来
【南蛮人】 私たち、ポルトガルから鉄砲もってきました。
コレすごい威力。バーン!
【漁 師】 この鉄の棒で殴るってか?
【南蛮人】 違います。コレはタマが出る道具です。この筒から遠い敵にバーン
【漁 師】 そんな重いもん、遠くまで飛ばんがな
【南蛮人】 違います。この穴からタマがバーン
【漁 師】 何が出るっての?
【南蛮人】 穴からタマ、バーン
【漁 師】 けっ、つまんねぇ! たまにはスドーンとか、バキューンとかいえよ.
武田家の密談
【武田信玄】 なぁ、勘助。南蛮渡来の鉄砲なるもの、わしらにも手に入らんか。
【山本勘助】 鉄砲を手に入れましても、火薬に使う硝石(しょうせき)がなければタマは飛びません。
【信玄】 硝石はどのように作るのだ?
【勘助】 しかとは存じませんが、鷹の爪をみじん切りにして、熱したゴマ油にじっくり溶け込ませるのだと聞きおよびまする。
【信玄】 トウガラシの粉末ではいかんのか?
【勘助】 市(いち)で売るようなものには、そのようなものはございません。が、手作りで進めれば、可能かと存じます。
【信玄】 それが首尾よく整ったとしても、実戦で使う場合は、酢としょう油の配分がむずかしいの。
【勘助】 しもじもの話によりますれば、まず酢を先に皿に注ぎ、しかるのちにしょう油を加え、最後に、先ほどの鷹の爪で味付けしたゴマ油を垂らすのだと聞きおよびまする。
【信玄】 焼き具合もむずかしかろう。
【勘助】 まず鍋に少量の油を引き、次に茶碗一杯の水を注ぎ、蓋をいたしまする。
【信玄】 焼き具合は、どのように測る?
【勘助】 水がなくなれば、首尾よく完了かと。そのときには表面に焦げ目がついておりまする。
【信玄】 焼き上がったとき、羽が付いているものが評判だと聞くぞ。
【勘助】 いかにも。羽つきが香ばしいと人気がありますな。
【信玄】 なるほど。それが上手な焼き方と申すか … 。酒より白米と合いそうだの。
【勘助】 御意(ぎょい)!
【信玄】 ……
【勘助】 ……
【信玄】 ……
【勘助】 ……
【信玄】 … なぁ、勘助。しょせん、我らには天下は取れんということか。
【勘助】 … 御意 …