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レクビィ35周年記念ミーティング

 4日間ほど、愛知県を旅した。
 キャンピングカー業界の老舗「レクビィ」さんの創業35周年記念ミーティングにお声をかけていただき、取材も兼ねて、瀬戸市品野町にある「サテライトギャラリー(同社キャンピングカー展示場)」を訪ねたあと、増田浩一社長の案内で、地元の陶芸家の工房なども見学させたもらった。

 

▼ サテライト・ギャラリー「レクビィ・ステーション」

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販売スタッフやキャンピングカー
メディアの記者たちが40人集まる

 

 3月27日(火)の「レクビィ35周年記念ミーティング」に参加したのは、レクビィの車両を販売する各ディーラーの代表者。
 北は北海道から南は九州までの約20社から23~24名。
 それに、レクビィ本社の社員およびキャンピングカーメディアの代表者やキャンピングカーライターが加わり、総勢40人ほどの会合となった。

 

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 「サテライトギャラリー(レクビィ・ステーション)」というのは、レクビィ本社工場の近くにオープンした同社のキャンピングカー展示場。
 本社より車で1分程度の「道の駅 瀬戸しなの」内にオープンし、今年で開設3年目を迎える。

 

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 基本的には、レクビィブランドを中心に展示する営業拠点の一つだが、営業色を抑え、 
 「キャンピングカーというものを詳しく知らない人々に、“現物はこういうものです” 、と知ってもらうための “ギャラリー” 」
 として位置づけられている。


来場者が気楽な雑談を楽しめる展示場

 

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 同社の代表を務める増田浩一氏(写真上)は、こう語る。

 

 「キャンピングカーというと、いまだにアメリカの巨大なモーターホームを想像される方々も多いのですが、街でよく見かけるワンボックスカーだって、立派なキャンピングカーになるんですよ、ということを知ってもらいたい」

 

 そして、
 「われわれスタッフが、来場者にキャンピングカーの魅力を “力説する” のではなく、逆に、展示場に来られた方々から、どのような旅行のスタイルが好きなのか、あるいはどういう仲間と旅行に行くのが楽しいのか、そんな話をいろいろ聞く気楽な雑談の場にしたい」
 という。

 

 もちろん、キャンピングカーユーザーが休憩に立ち寄ることも大歓迎。
 給水も、AC電源の充電も自由だ。

 

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レクビィ35周年の歩み 

 

  「35周年記念ミーティング」が開かれた当日は、各招待者がこのサテライトギャリーに集合し、お昼のお弁当をご馳走になったあと、道の駅の会議室で、レクビィの歴史、企業理念、現行車種の説明、オリジナル装備の機能紹介、マーケット分析、キャンピングカー文化の将来的展望などの説明を受けた。

 

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 参加者に配られた説明資料によると、同社が設立されたのは1984年。当時の社名は「ロータス名古屋」だった。


 「レクビィ」に社名変更したのは1990年。
 今でも同社の主力ブランドとして親しまれているバンコンの「ファイブスター」が誕生したのも、この時期である。

 

 その後、自社ブランドと平行して、輸入車を手掛けたりした時期もあったが、現在は日本を代表する国産バンコンのリーディングカンパニーとして、業界からもユーザーからも一目置かれる存在になっている。


キャンピングカーライターの
岩田一成氏といっしょにトークショー

 

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▲ 岩田一成氏(左)

 

 会議室の説明会では、キャンピングカーライターの岩田一成氏といっしょに、演壇に座り、参加者の前でトークショーを行った。
 テーマは、レクビィ車の機能性とその文化的意義。

 

▼ レクビィのフラッグシップモデル「シャングリラ」

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 岩田さんは、レクビィのバンコンが心がけている
 「簡単なベッドメイキング」
 「人の動線を確保したフロアプラン」
 「(上級ブランドにおける)トイレスペースの意義」
 について言及。

 

 私は、岩田さんの説を補足して、
 「(同社のフラッグシップモデルである)シャングリラをはじめとするカントリー・クラブ、ファイブスターなどのトイレスペースを持つバンコンの心理的効果」について語らせたもらった。


▼ トイレ用個室スペースを持つ「ファイブスター」

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 キャブコンにはトイレ/シャワースペースを持つ車は珍しくない。
 特に輸入モーターホームや大型の国産キャブコンでは、トイレスペースこそが、その車のブランド力をアピールする装備になったりすることもある。

 

 しかし、バンコンでは珍しい。
 もともとバンコンユーザーはスペース効率を優先する志向が強いため、リヤにトイレスペースを持つことを “もったいない” という感覚で見てしまう。

 

 だが、私のように、トイレ付キャブコンを25年間乗り続けてきた人間からすると、キャンピングカーのトイレスペースというのは、単なる機能的空間以上の大切なものだという感覚が強い。

 
キャンピングカーのトイレは
何のためにある?

 

 もちろん機能面だけに限定しても、室内にトイレがあることのありがたみはとても大きい。


 確かに、道の駅や高速のSA・PAや、コンビニにもトイレがあるご時世だが、いちいち車から降りてトイレに行くというのは、年を取ってくるとだんだん億劫になってくる。
 
 さらにいえば、小さな子供と旅行しているとき、暗い道の駅などで、子供をトイレに行かせるのも心配なときがある。


▼ 「シャングリラ」の個室空間 

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 だが、「トイレにも使える個室」を持つキャンピングカーというのは、機能以上の価値を生み出す。
 それは、“逃げ込める空間” になるからだ。

 

 いくら仲の良い夫婦といっても、長旅が10日以上、時に2週間以上になってくると、息が詰まってくる。
 そのときに、お互いに顔を合わせなくて済む “個室” が車内にあるというのは、息抜きの空間を持っていることになる。


トイレ空間は長旅の必需品

 

 たとえ、その中に実際に閉じこもらなくても、そういう “空間” が車内にあると意識するだけで、ずいぶん心が軽くなる。

 

 私たち夫婦は、そういうふうにして、2週間以上続く旅行においても、お互いに気楽に旅してきた。
 だから、トイレスペースに使える個室を持ったバンコンの意義をもっと強調してもいいと思っている。


ミーティング資料でも紹介を受ける

 

 今回のミーティングでは、レクビィさんが用意した36ページにも及ぶ討議資料の最終ページに、なんと、私が25年前に手掛けた『RV&キャンピングカーガイド』という年間本の94年版と95年版の表紙と、その編集後記が載せられていた。

 

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 当日参加した若いスタッフは私のことを知らない人も多い。
 それを考慮した増田浩一社長の好意であろう。
 思えば、増田社長とも25年の付き合いが続いたことになる。
 うれしい配慮であった。

 
 当日は、そのあと、レクビィ本社工場を見学。

 

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 同社のバンコンがどのように造られているのかという説明を受けたあと、「猿投(さなげ)温泉」という温泉宿に全員バスで移動。
 山深い “秘境” の風情すら漂う落ち着いた宿で、宴会となった。

 

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瀬戸焼きの工房『燄(えん)』を見学

 

 翌日は、有志だけの参加となったが、瀬戸市内に瀬戸焼の窯を構える波多野正典氏の工房『燄(えん)』の見学メニューが用意されていた。

 

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 波多野正典氏は、陶芸ビエンナーレ賞、朝日陶芸展・秀作賞、日本現代工芸美術展賞などの数々の賞を受賞した華々しい陶歴の持ち主で、高校生たちに陶芸を講義することもある地元の名士。

 

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 同氏の工房は、レクビィ社とも縁が深く、レクビィの看板バンコンである「カントリークラブ」などのシンク(写真下)が、この波多野工房で生産されている。
 

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「クールジャパン」のキャンピングカー版

 

 瀬戸市が “瀬戸物” の産地として知られているため、同じ瀬戸市に工場を構えるレクビィが、波多野工房に「瀬戸焼き製シンク」の製作を依頼したという経緯もあるが、そもそもキャンピングカーのシンクに “瀬戸物” を使うという発想自体が面白い。

 

 それこそ、日本製の漫画・アニメなどのポップカルチャーや、日本製ゲームコンテンツ、現代アート、ファッションなどを総称する「クールジャパン」の “キャンピングカー版” ともいえる。


 今回は、レクビィ・ステーションの見学に始まり、本社工場の視察、さらに陶芸工房を訪問して、瀬戸焼きの創作の現場を見せてもらうなど、メニュー豊富な旅を楽しむことができた。

 

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 旅行日数は、行きと帰りの移動日に、それぞれ2日掛けるという贅沢なものになった。
 昼は中央自動車道の山並みを眺めながら走り、夜はSA・PAで音楽を聞きながらの独り宴会。
 キャンピングカーの旅は楽しい。

 

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サテライトギャラリー(レクビィ・ステーション)
(道の駅 瀬戸しなの 第2駐車場)
電話:0561-59-7788
火・水曜休(祝日営業) 10:00~17:00

recvee.jp


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アクセス 
東海環状自動車道・せと品野から瀬戸市街方面へ約3.3km
レクビィ本社工場から車で1分