アートと文藝のCafe

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ランボーやカフカよりも餃子のラー油

 

 短歌を作るようになって、ちょうど1年ほど経つ。
 知人に誘われて、地元の「短歌の会」に顔を出したのが、昨年の1月18日。
 月1回の会に2首ほど用意して提出してきたが、わずか1年ほどの修行では成果が上がるわけもなく、勉強会を主宰する藤井徳子先生からは酷評を与えられることもしばしば。

 

 「現実を直視するのではなく、頭の中(観念)で歌をひねっている」
 とよく叱られる。

 

 ま、言われるまでもなく、確かにそういうところもあるな と自戒しているのだが、「人が笑ってくれるようなコントの台本みたいな歌を作りたい」という気分がなかなか抜けず、それが自分のネックになっている。

 が、たまに成功することもある。

 

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 ツマミなし一杯だけのコップ酒外れ馬券に未練たらたら

 

 という歌を、昨年の5月頃つくった。
 川崎競馬場に出向いたとき(神奈川キャンピングカーショー取材)
にひらめいた歌だ。

 
 このとき、馬券は買わなかったが、昔、東京(府中)競馬場のダービーで大枚を使い果たし、そのときの切ない気分を思い出したらこのフレーズが浮かんだ。

 
 上記の歌だけは、いつも参加している勉強会の藤井先生もほめてくれた。
 そして、東京・多摩地区の短歌愛好家を集めた大会(「多摩歌話会 秋季大会」)に提出することを薦められた。

 

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 その秋季大会のレポートが、2019年12月20日に発行された『多摩歌話会会報(第94号)』に収録されていた。


 勉強会で配られたその冊子を家に持ち帰り、開いてみたら、あらららら ………
 くだんの私の歌が載っているではないか。

 

 多摩歌話会の講評で、この歌を採り上げてくださった小島熱子先生が、今度は原稿という形で次のような感想を記してくださった。

 

 もちろん、選者賞とか歌人クラブ賞などという栄えある選考とは無縁の作品であったが、小島先生は書く。

 

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 「思わず笑ってしまった。下句は実に俗っぽい表現だが、この一首の率直さが何ともいい。
 単刀直入、恐いもの知らずの勢いを買う。少し添削すれば歌として纏まるが、それはそれとしてコップ酒を飲む作者像に巧まずしてペーソスがある」

 

 なんとも好意的な、ありがたい選評である。

 

 
 で、本日、今年最初の短歌会が開かれたが、またもや藤井先生に気に入っていただけるような歌をつくれた。

 

ランボーカフカも今はどうでもいい それより餃子のラー油はどこだ

 

 ランボーは、天才少年といわれたフランスの詩人。
 カフカは、不条理な作風で知られるチェコの小説家。

 

 先生いわく、
 「この歌の面白さは、落差の大きさにある」

 

 ランボーカフカも、ともに文学青年たちが “文学論” を戦わせるときに必ず登場する大作家だが、それが、餃子とラー油という庶民的な食べ物の威力にあっけなく追い払われるというリアルさが、この歌の面白さである。

 

 大変好意的な評価をいただくことができて、ありがたく思った。
 これも次回の多摩歌話会に提出できるというお墨付きをもらった。

 

 調子こいて、まだ未発表の歌をもう2首ほど。

 

 ダリの絵を観ていたわれに友が言う

「お前ってさぁホラー好きな人?」

 

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 豚カツになる日を待たず死ぬ子豚 

  哀れなるかな豚コレラ処分