エッセイ
人間は、絶えず何かを「企画」しながら生きている。 「企画」というと、広告代理店とか編集プロダクションの “専売特許” のように思われがちだが、普通の営業でも、製造業に関わる工場労働においても、仕事を続ける上で「企画」は必要とされる。 資本主義原…
凄いドラマだよな。 ヒマラヤを越えていくツルたちの話。 夏の間、モンゴル高原で暮らすアネハヅルという鳥は、冬が近づくと、仲間同士が編隊を組んで、暖かいインドに旅立つ。 その中には、生後3ヶ月ほどの若鳥たちのグループもいる。 彼らは、大人たちと…
高校生の頃、「数学」が苦手だった。(今でもそうだ) 10段階の通信簿で、最高評価が「2」だったし、数学のテストでは、代数も幾何も、100点満点で2~3点を取るのが精いっぱいだった。 「国語」とか「倫理社会」とか「歴史」ってのは、まぁまぁの点を取っ…
俺も今日で70歳になっちゃったわけよ。 二十歳の頃、自分が70になるなんて、考えたこともなかったな。 それにしても、あっという間よ。 60過ぎたら、早いぜぇ。 脚本家の内館牧子氏によると、人間が感じる時間のスピード感は、その人の年齢をそのまま “時速”…
コロナウイルスの感染拡大を防止するため、「外出自粛要請」が国民的に呼びかけられている。 もちろん、そういう要請への協力にやぶさかではないので、極力外出は控え、近所をウォーキングするぐらいにとどめていたが、専門家の意見では、そのウォーキングも…
NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』は、最近の大河としては珍しく面白い作品だと思っている。 脚本が悪くない。 演出もいい。 キャストも、(ごく一部を除いては、)いい役者をそろえたと思っている。 だから話しのテンポが小気味よく、予想外の展開に度肝を抜か…
ディランの声は何を意味するのか ボブ・ディランというアーチストを語ることは、私にはとても難しい。 ビートルズのデビューとほぼ同じ頃に登場し、60年代、70年代を代表する数々の名曲をリリースし、現在も第一線で活躍するスーパーアーチストなのだが、な…
コロナウイルスは、日本では “花見の季節” を直撃した。 いつもなら、桜の木を取り囲むようにブルーシートを敷いた団体が座り込み、昼夜を問わず宴たけなわの光景を展開するはずなのだが、さすがに今の時期、そういう光景は見られない。 そのためか、人気の…
前回の記事で取り上げた『パンデミックが変える世界 ~歴史から何を学ぶか~』(NHK Eテレ)という番組は、それなりに反響があったようだ。 私のブログ以外にも、ネットでこの番組を採り上げたサイトがいくつもあり、それぞれ好意的に評価していた。 テレビ…
パンデミック(世界的流行)となったコロナウイルスは、人類に何を教えているのか? 自分でもいやになっちゃうんだけど、コロナウイルスの報道から目が離せない。 その理由は、(大げさにいえば)今回のコロナショックが、いったい人類にとって何を意味する…
新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に与える影響が深刻化している。 日本でも、政府や自治体が呼びかける「週末の外出自粛」という通達によって、居酒屋やバー、クラブといった接客をともなうサービス業が壊滅的打撃を受けている。 多くの人が、「早く…
無意味な論争 コロナウイルスの感染率が激増している状態を反映して、無益な対立が広まっている。 “世代間対立” といわれるもの。 「国家的緊急時だというのに、お花見や卒業旅行などに出かける若者が多いのはけしからん」 というシニア世代に対し、 「若者…
コロナは世界のグローバル化によって広まった 新型コロナウイルスが世界的に蔓延している状況をみると、これほどまでに “世界のグローバル化” が進んでいたのか、という証拠を改めて突き付けられたような気分にな る。 コロナウイルスは人と人の接触によって…
いまだに沈黙を守る元・全共闘の活動家たち 50年ほど前、全国の大学で勃発し、その後政治闘争として街頭に広がった “全共闘運動” とは何であったのか。 それは、いまだに総括されていない。 強圧的な国家権力に対する学生たちの「反抗」であったのか。 資本…
世界規模で蔓延しているコロナウイルスの感染が終息する気配がまったく見えない。 いつまで続くのか。 あるいは今後、さらなる予想を覆すような猛威が迫ってくるのか。 未知のウイルスのため、専門家にもそれが分からない。 ただ、はっきりいえることは、こ…
名古屋のキャンピングカーショーを取材に行くとき、必ず泊まっていたのが、三重県桑名市にあった「オートレストラン長島」(写真下)だった。 残念なことに、2017年に閉館になってしまったが、名古屋のショーが終わった夜は、自分のキャンピングカーでここに…
もう5年ぐらい前の話だ。 NHKで、終戦からバブル崩壊までの70年の歴史を追った特番が企画されたことがあった。 タイトルは忘れたが、“戦後70年を振り返る” という言葉が入っていたような気がする。 そのとき、NHKが保存していた1945年から1990年までの実写…
今年(2020年)の干支は「子(ネズミ)」である。 ネズミがなぜ干支の動物に選ばれているかは諸説あるらしいが、一つは、「子供をどんどん産んで数を増やす」という特性から、「子孫繁栄」の象徴とされるらしいからだ。 しかし、歴史的にみると、ネズミが個…
日本代表がベストエイトまで勝ち進み、南アフリカと決勝トーナメントを戦ったワールドカップラグビーだったが、惜しくも敗れ、日本列島を襲った約1ヶ月のラグビーフィーバーも幕を閉じた。 それでも、日本代表の偉業をたたえるマスコミ報道の熱は冷めない。…
仕事中にパソコンを見ているときも、居間でテレビを観ているときも、突然こっくりと居眠りをする私である。 もちろん、すぐに目が醒める。 しかし、いつのまにか、再びうつらうつらしている。 年をとるということは、生活の中に、「眠り」が忍び寄ってくる回…
今週のお題「平成を振り返る」 昭和的な幸福感と決別した時代 平成という時代は、一言でいうと、世界経済のグローバル化に翻弄され、昭和の時代に日本が蓄えたさまざまな資産をすべて喪失した時代だったといえる。 劇作家の宮沢章夫によると、 「(平成は)…
「場末」って、好きだ。 BASUE …… 今、この言葉はどれほどまで機能しているんだろうか。 ひょっとして、もう「死語」なのかな。 若い人は、もうこういう言葉を知らないんじゃないか? 「街の中でも、目抜き通りから少し外れた、さびれた場所」 … っていうよ…
自分は占いを信じるタイプか? そう自分自身に問うてみると、若いときは、けっこう占いの結果にこだわる人間だった。 受験の失敗、失恋 … 。 先行きに暗雲が立ち込めてくるようなときは、雑誌の片隅に掲載された星占いの結果ですら、ものすごく重要なメッセ…
前回のブログで、 「平成という時代は、コスパ思想が席巻した時代だった」 という内容の記事を書いたが、実はもうひとつ、「平成」の精神風景を語るときに無視できない概念がある。 それが、「コミュ力」という言葉だ。 平成という時代は、老いも若きも「コ…
新しい元号が発表になって、いよいよ「平成」という時代も、あと1ヵ月を切るようになったが、そのせいか、テレビなどでは「平成」という時代を事件や歌で振り返る番組が増えた。 「平成」とはどんな時代であったか? 私が思うに、「平成」という時代は、“コ…
すべての人間は、「自分は橋のたもとで拾われた子どもではないか?」という疑問を解消することはできない。 両親の温かい愛に包まれた幸せな幼年時代。 そのような記憶があったとしても、それははたして本当の記憶なのだろうか。 1982年に公開された『ブレー…
春の夜風は、なまめかしい。 なまめかしい、とは「艶かしい」と書く。 女性の性的な魅力を表現するときに使われる言葉だ。 「色っぽい」の同義語として使われることが多い。 しかし、春の夜風にまぎれ込む「なまめかしさ」には、もっと根源的な、生きること…
OLD MAN オールドマン 午後のスタンドカフェで、ぽつねんと、外の景色を見ている老人がいた。 喫煙席だった。 人がまばらに座った客席から、いく筋かの紫煙がのぼっていた。 老人はタバコを吸わないようだ。 喫煙席には、間違えて入ってきたのかもしれない。…
思い出したくもない「思い出」というものがある。 自分の恥部を人前にさらけ出してしまったような体験。 そのときの情景を思い出すだけで、穴があったら入りたくなってしまうような記憶。 そういうのって、あるよね。 特に、自分がまだ若くて未熟だった時代…
幻の遊園地「白子ラクダの国」 テーマパークというと、誰でも真っ先に浦安の「東京ディズニーランド」や、大阪の「ユニバーサルスタジオ」などを思い浮かべるはずだ。 その二つは、それぞれ人気もあり、集客力もすごい。 ドキドキ、ワクワク、ルンルン。 華…